特産ゴールデンベリーAの力を「一滴」に凝縮 生産から醸造まで「オール加西」のワイン発売

「多くの協力やつながりをラベルに表現した」と話す福永淳平さんと「vin-shu no shinshu2022」=uni

 兵庫県加西市鍛治屋町のワイン醸造所「ボタニカルライフ合同会社」が、特産の生食用ブドウ・加西ゴールデンベリーAを使った赤ワイン「vin-shu no shinshu(ヴァンシュウ・ノ・シンシュ)2022」を発売した。添加物を用いず、丁寧に手作業で仕上げた労作。農家が丹精したブドウの良さが100%表現され、深い味わいになっている。(敏蔭潤子)

 加西ゴールデンベリーAはマスカットベリーAの栽培技術を向上させ、種を抜き果実を大きくした品種。約50年前には「種なしベリーA」として全国的に有名になった。生食用の収穫期以外にも加西産ブドウに親しんでもらいたいと、1989年からワイン用にも出荷している。

 一方のボタニカルライフは2年前、ブドウ農家の福永淳平さん(39)が開業。醸造過程の隅々まで目が行き届いたワインは全国にファンを持つ。

 市とJA兵庫みらい、加西商工会議所でつくる加西ブランド協議会は、ブドウ生産から醸造まで「オール加西」のワインを造ろうと同社に製造を依頼。福永さんは昨年9月、JA兵庫みらい「加西市ぶどう部会」会員からブドウ約1トンを購入して取りかかった。

 妻の枝美さんと、手作業で粒と茎をより分けた。「腐った粒は一つもなく、きれいなブドウばかりだった」と福永さん。粒をタンクに入れて約1カ月間発酵した。房に付いた自然の酵母の力だけで醸したという。

 自然の力を生かすことにこだわった「ヴァンシュウ・ノ・シンシュ」。福永さんは「余計なことをせず、土地の味わいが素直に出るように造れた」と手応えを語った。

 ラベルは友人がデザインした。手をつなぎ踊る人たちと、一滴のワイン。「みんなの協力でできた一滴がだれかに届く」という思いと感謝が込められている。

 加西市内の酒販店3店と同社の直売店「uni」(ゆに、不定休)で販売。750ミリリットル、2800円(税込み)。ボタニカルライフ合同会社(https://botanical-life.co.jp)。「uni」TEL0790.20.6385

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