【竜巻被災から再出発】しょうゆ店が再開へ 静岡・牧之原市

2年前の5月、竜巻とみられる突風が牧之原市を襲った。蔵などが全壊したしょうゆ製造会社では、新たなしょうゆ造りに挑み続けているが、完成に向けて大きな一歩を踏み出した。

2021年、牧之原市を襲った竜巻とみられる突風。

(ハチマル 鈴木義丸 社長)

「ひどすぎて言葉も出ないというのが正直なところ」

江戸時代からしょうゆの製造や販売をする「ハチマル」の鈴木社長。突風の影響でこの会社では、築150年以上の蔵3棟が全壊する被害に遭った。しかし、崩れた蔵から約40年前の「もろみ」を発見。2022年、蔵を立て直し、新たな樽などを用意してしょうゆ造りに挑戦していた。先週、再び会社を訪れてみると…。

(ハチマル 鈴木義丸 社長)

「(きょうは)もろみを搾った生揚げしょうゆまでやる」

この日は待ちに待った、1年前に仕込んだ「もろみ」を搾る作業。600リットルのもろみから、生の“しょうゆ”を搾り出していく。現在、会社で販売している商品は、事業の効率化を図るために他の会社と共同の工場で醸造している為、鈴木社長にとってこのしょうゆ造りは初めての経験。

(ハチマル 鈴木義丸 社長)

「こんな平らにならないのかというくらい濃い」「ここやばいな、こぼれそう」

こうして抽出された生のしょうゆを、今後、火にかけてようやくしょうゆができあがる。まだ未完成のしょうゆだが、その味は…。

(ハチマル 鈴木義丸 社長)

「甘い、だしみたい」

Q味はどうか?

「どんな味になるかわからなかったが、甘みが残るしょうゆがよかったと思っていた」

会長の父親も…。

「もろみが若く甘めでフレッシュな味」「これはこれで1つのしょうゆとしていいかも」

そして、翌日。ここからは機械で圧力をかけて「もろみ」を搾っていく。しょうゆ造りはようやく形になってきたが、再建や復活はまだ途中だと社長は話す。

(ハチマル 鈴木義丸 社長)

「僕たちがおいしいしょうゆを作り、皆さんに評価をいただいて、無事におけが空になり、繰り返し仕込めるように、おいしいしょうゆ造りを一歩一歩進めていきたい」

奇跡的に見つかった「もろみ」でつくられたしょうゆの販売は、2023年の夏以降を目標に準備を進めているという。

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