少年院の100人に性教育、助産師が「性的同意」を講義 少年「彼女を束縛する癖を振り返れた」

性器の模型を使い、体の仕組みを説明する神保ゆうこさん=兵庫県加古川市八幡町宗佐

 性的な行為に関して互いの意思を確認する「性的同意」や避妊具の使い方など、実践的な性教育の出前講座が5日、兵庫県加古川市八幡町宗佐の少年院「加古川学園」で開かれた。性教育を受けた経験や記憶がないという在院者も多いといい、講師を務める助産師の言葉に、15~20歳の約100人が耳を傾けた。

 オンライン診療事業を展開する「ネクイノ」(大阪市)が企画。同社は大阪・心斎橋で、医療相談を無料で受け付ける若者向け施設「スマルナステーション」を運営しており、助産師らが妊娠や生理などの相談に応じ、医療機関につないでいる。

 講師の神保ゆうこさんは神戸大医学部保健学科を卒業後、産婦人科などで勤務。現在は助産師と看護師の資格を生かし、同施設に勤めている。講座は多様な事情や悩みを抱える在院者に、性教育を通じて「相手を思いやる気持ち」に気付いてもらおうと企画した。

 「からだとこころの健康」と題し、神保さんは「自分の体を知るのは自分を大事にする第一歩」と強調。性器の模型を示し、射精と排卵や妊娠の仕組みを紹介した。

 性的同意については「曖昧にせず、互いの意思を確認して。同意のない性交渉は性暴力」と指摘。コンドームの扱い方も模型を使いながら実演した。

 傷害事件で在院している少年(18)は「コンドームに裏表があり、爪で簡単に破れてしまうことは知らなかった」とし、「元彼女を束縛する癖や、自分のわがままを振り返る機会になった。自分だけでなく、相手の意見を聞くことも大切だと思った」と話した。(津田和納、児玉芙友)

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