集落孤立、住民救え 豪雨教訓、金沢で初訓練 

ロープを使い、取り残された要救助者役を助ける消防隊員=7日午前9時55分、金沢市東蚊爪町

  ●金沢駅西、内灘町消防署 

 金沢市駅西消防署と内灘町消防署は7日、同市東蚊爪町の大浦排水機場周辺で、大雨で孤立した集落から住民を救出する訓練を初めて実施した。昨年8月の豪雨で小松市内の集落が孤立したことを受けて企画し、消防隊員ら約30人が川の対岸に取り残された住民を助け出す手順を確かめた。記録的な大雨が多発する中、昨夏の教訓を生かし、梅雨に備える。

 大規模災害時は地域の垣根を越えた救助活動が想定されることから、管轄の異なる2消防署が合同で訓練に臨んだ。

 川が氾濫し、集落につながる橋が流された想定で、隊員は「救命索発射銃」と呼ばれる空気銃を使って20メートル先の対岸にロープを発射。ロープをつたって要救助者役を救い出した。

 溺れた住民を助ける訓練では、ゴムボートや水上バイクに乗った隊員が要救助者役を安全な場所まで運んだ。河川の氾濫により市街地が浸水したとの想定で、隊員は円滑な情報共有を図った。

 終了後、干場厚良駅西消防署長が「迅速な救助のため、技術向上に努めてほしい」と講評した。中本潤内灘町消防署長は「顔の見える関係をつくり、連携を強めていきたい」とあいさつした。

 昨年8月の大雨では、小松市で梯(かけはし)川が氾濫し、同市中ノ峠町で10世帯数十人が孤立した。この時は金沢、白山野々市、かほく、津幡の消防隊員がロープを使い、逃げ遅れた住民4人の救助に当たった。

 駅西消防署は5~8日を水害対応訓練強化週間とし、水害発生時の情報収集などシミュレーション訓練もこなしている。

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