テニス界の「金の卵」探しに異例の視察団 米の11大学が兵庫の相生学院高へ プロ12人輩出「日本のトップ」認識浸透

練習試合に米国の大学コーチらが熱い視線を送った=三木市志染町三津田、ブルボンビーンズドーム

 テニスの有望選手を探す米国の大学が、遠く離れた兵庫に熱い視線を注いでいる。カリフォルニア大バークリー校など有力11大学のテニス部コーチ陣が来日し、現地に数々の「勝てる選手」を送り込んできた相生学院高校(兵庫県加古川市)の練習を視察した。特定の高校を米大学の視察団が訪れるのは異例。「金の卵」を探し出そうと、真剣勝負で競う生徒の様子に見入った。(笠原次郎)

 同学院は2008年、加古川市の会社が運営する高校として開校。テニス部員77人は、同市内で午前中に授業を受け、午後は14面あるコートを使い腕を磨く。全国から選手が集まり、練習試合の結果に基づき、成績が常に変動するため、向上心が刺激される。男子は今春、全国高校選抜大会の団体戦で4連覇を達成。女子も団体戦で同大会を3回、インターハイを2回制した。

 これまでにプロ12人を輩出。17年以降、米大学に男女18人が進んでおり、中でもインターハイで単複団体の3冠を達成した菊地裕太選手(23)はバークリー校のシングルスエースとして活躍した。

 米国からの視察は、留学をあっせんする日本の会社の主催で「ショーケース」と呼ばれる。複数の選手を1カ所に集めて開くことが多く、学校単位の開催は相生学院が初めてという。今回ショーケースを企画した「パスポート」の馬場猛(たけし)社長(56)=ニューヨーク在住=は「それだけ米国での評価が高いということ」と説明する。相生学院出身選手の活躍が米国の大学で注目されるにつれ、「日本のトップの学校」という位置づけが米国で浸透しつつあるという。

 選手たちは5月30日、三木市のブルボンビーンズドームで練習を披露。アリゾナ州立大など強豪大学のコーチが見守る中、米留学を目指す1~3年の男子19人、女子11人が単複の試合を繰り広げた。接戦で大事なポイントを決めるなど勝負強さをアピールした。

 バークリー校のコーチ、フランシス・サージェントさん(29)は「選手からは強くなろうという気持ちを感じた。いい選手がたくさんいて印象に残った」。21年に世界スーパージュニア選手権ダブルスで優勝し、米進学を目指す3年の山本夏生(なつき)選手(17)=加古川市=は仲間との接戦を制し「得意なサーブや攻撃的なフォアハンドを披露できたと思う」と手応えを感じていた。

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