何としても歯止めをー特殊詐欺対策に老いも若きも総動員 兵庫県警、OB・OGや学生ボランティアをフル活用

ATMの周辺で警戒する警友会川西支部所属の会員ら=川西市内(警友会提供)

 戸別訪問や街頭キャンペーンによる注意喚起、水際阻止の意識向上、犯罪グループの摘発-。被害に歯止めがかからない特殊詐欺の対策はさまざまあるが、何にしても必要なのがマンパワーだ。とはいえ、警察官の人数には限りがある。そこで兵庫県警が考えたのが、OB・OG組織「警友会」と学生ボランティアの活用という、老いも若きも総動員するアイデアだ。(小川 晶)

 警友会は、勤続10年以上の警察官と警察職員の退職者からなり、会員数は約4200人。県内41支部ごとに、警察署と連携して交通安全や防犯のキャンペーンなどに取り組んでいる。

 数々の事件・事故と向き合ってきた経験を持つ彼らに県警が期待するのが、ATMの警戒業務だ。特殊詐欺の電話がかかってきた地域で警察署が支部に連絡。体が空いている会員が最寄りのATMに駆け付け、不自然な行動を取る人への声かけなど水際での被害阻止に努める。

 主に警察官が担っている業務だが、通報などへの対応でATMに張り付き続けるのは難しい。そのため、時間的に余裕がある退職者に役割を補完してもらうことにしたという。

 県警は、4月12日付で全警察署に通知文を出し、管轄の警友会支部に協力を依頼するよう呼びかけるとともに、具体的な連携の手順を示した。警友会の菅野利郎専務理事は「現役を支援する機会が増えるのは、OBとしてもありがたいこと」と歓迎する。

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 防犯活動での県警と学生の連携はこれまで、大学などのグループ単位が主体だった。その裾野を広げ、幅広く協力を呼びかけるため、個人参加の学生ボランティア制度を新たにつくり、募集を始めた。

 活動は、警察官に同行しての防犯活動、キャンペーンや、ATM周辺の店舗、住民への協力依頼などを想定する。学業や部活動、アルバイトなどの空き時間を活用できるよう、都合のいい場所や時間を選んで参加できる自由度の高い仕組みにしている。

 18歳以上の兵庫県内在住・在学者が条件。希望者はメール(bouhan-gakuvolu@police.pref.hyogo.lg.jp)に名前、学校名、生年月日、住所、連絡先などを書いて17日までに申し込む。

 活動期間は、7月から来年2月までの8カ月間。6月24日に神戸市中央区の県警本部で事前講習を兼ねた発足式を開催する。県警生活安全企画課TEL078.341.7441(内線3035)

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