「夫がかみ殺されると…」 イノシシに襲われ5人けが 長崎県大村市の住宅街 

イノシシの体当たりにより一部が歪み欠落した男性宅のフェンス=大村市木場1丁目

 長崎県大村市木場の住宅街で11日午前、イノシシが出没し、かみつかれるなどして5人が負傷した。いずれも命に別条はない。数時間後に捕獲されたが、市は見つけたら近寄らず、市に連絡するよう呼びかけている。
 大村署などによると、午前9時40分ごろ、同市木場2丁目で2歳の男の子と30代男女、70代女性の4人にかみついたり突進したりした。午前10時15分ごろには木場1丁目の民家で男性(74)にかみつき、逃走。正午ごろ、近くの市立旭が丘小の裏山で大村署員と市職員に捕獲された。体長1メートル10センチ、体重50~60キロのメスだった。市によると、同日朝には同市久原1丁目で海から上陸するイノシシの目撃情報があり、同じ個体の可能性もあるという。
 自宅でかみつかれ入院している男性(74)の妻(72)によると、男性が玄関のドアを開けると、目の前にイノシシがいた。「あーっ」という叫び声を聞いた妻が見に行くと、男性は玄関先でイノシシに押し倒されていた。妻は「夫がかみ殺されると思い、助けを求めるのが精いっぱいだった」と振り返る。
 助けを呼ぶ妻の声を聞いた近隣住民が110番。近所の若者や警察官も駆けつけたが、捕獲できなかったという。イノシシは家の敷地を駆け回り、フェンスを突き破って小学校の方向へ逃走した。男性はふくらはぎをかまれ、全治1カ月とみられる。
 木場地区は市内の丘陵部にあり、近年宅地開発が進んでいる。

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