昔ながらの町家リノベ、福井県にレンタルキッチン登場 飲食店を開業したい人のための小規模店舗…1日当たりの料金は?

レンタルキッチンで試験出店を始めた久木由香さん(中央)と「京町リパブリック」のスタッフ=福井県越前市京町3丁目の同店

 福井県越前市京町3丁目にオープンした冷凍食品専門店「京町リパブリック」が、飲食店の開業を目指す人の試験出店を受け入れるレンタルキッチン事業を始めた。昔ながらの町家を改修した店舗を拠点に次の創業を後押しし、まちの活性化につなげたいとしている。

 京町リパブリックは、築90年以上の元酒店を改修して昨年11月にオープン。店舗内に整備したキッチンのレンタル事業は4月に始めた。小規模ながら業務用のガスコンロなどを備え、客席はカウンターとテーブルの6席程度を用意。1日5500円(午前9時~午後4時)のレンタル料金で出店できる。

 運営する廣瀬企業診断(同市府中1丁目)は、中小企業のコンサルティングを手掛けており、キッチン出店者も開業に向けたノウハウを身に付けるための助言を受けることができる。マネジャーの高橋淳子さんは「いろんな人が店を出してまちが元気になっていけばうれしい」と願う。

 最初の出店者となったのは同市の久木由香さん(30)。京都府で飲食店スタッフの経験を積み、昨年にUターンした。4月から週末限定でスパイスカレー店を営業し、将来の本格開業を目指す。来店した知人からは「いいなあ、やってみたい」と試験出店をうらやむ声もあり、「何か始めてみたいと思っている若い人は多いのでは」と挑戦できる環境にありがたみを感じている。

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 住宅街の細い路地に面した店舗は、以前の酒店の看板がそのまま掛けられ、住民に親しまれた往時の面影を残す。本業の冷凍食品販売はピザやロールキャベツなど本格メニューを取りそろえ、近隣に住む共働き世帯の女性や1人暮らしの高齢者に利用されており、地域の暮らしを支える一助になっている。

 「まちなかに溶け込みながら、地域活性化につながる場所にしていきたい」と高橋さん。来春の北陸新幹線越前たけふ駅開業を見据え、今秋ごろには併設するゲストハウスのオープンも予定している。

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