「ここにおるよ」LGBTQ 広島で初めてのレインボーパレード

性的マイノリティへの理解を促す「LGBT理解増進法案」が衆議院を通過しました。ただ、当事者からは懸念の声も上がっています。そんな中、広島では初めてとなる「レインボーパレード」が開かれました。

レインボーパレードは、LGBTQなど多様な性のあり方に理解を求めるイベントで、全国各地で開催されています。広島では今回が初めての開催で、10日、ゲイやレズビアンなどの当事者とその理解者が、シンボルの6色の虹色の旗や花を身に着けてパレードしました。

開催の1週間前…、パレード参加者の交流会が開かれました。

みどりさん(仮名)
「LGBTQのLなんですけど、性自認も女性で恋愛対象も女性です。当事者が声を上げないとみんなが居るってことに気づかないと思って参加しようと思っています」

ただ、この日、集まったのは主催者を除くと4人だけでした。

広島県セクシュアルマイノリティ協会 野元恵水 さん
「広島は当事者の方が集まりづらい。顔出しNGみたいで。それが課題というか、顕著に見えていて」

当事者として参加する大学生
「広島はやっぱり顔ばれしたら過ごしていきづらいのはあるような気がする」

先月、広島サミットが開催されたばかりの日本は、G7(主要7か国)の中では唯一、LGBTQに関する法律がないなど、取り組みの遅れが指摘されてきました。

国民の性的マイノリティに対する理解を促そうと、国会では「LGBT理解増進法」が議論されていて、法案は13日、衆議院の本会議で可決されました。ただ、中身については当事者などから懸念の声も上がっています。「誰もが生きやすい社会」にはまだ遠い状況です。

みどりさん(仮名)
「広島の人が、東京のパレードだったら楽しんで歩けるのに、地元だったら歩けないのは当事者だけの問題じゃないのかな」

なおさん(仮名)
「ふだん生活している中でLGBTQへの理解度が低いのを感じて参加しにくいのかな」

「規模は小さくても、広島の大きな一歩にしたい」―。演出のダンスも念入りに練習し、本番を迎えました。当日は性的マイノリティの当事者やパレードの趣旨に協賛した企業の社員など、想定より多い60人が音楽に合わせて平和大通りを進みました。

みどりさん(仮名)
「はじめは恥ずかしいと思っていたんだけど、消し飛んじゃいました。周りの人が手を振ってくれたり、それがうれしくて」

参加の当事者
「他県で開催されているものは過去にも参加したことがあるので、広島でできて、うれしいなってめっちゃ思います」

日本で最初にレインボーパレードが開催されたのは、実は1994年にまでさかのぼります。その後、東京では何度も開催されたほか、中四国では岡山県や山口県ですでに開催の実績があります。

広島では、2020年のフラワーフェスティバルで初めてパレードをする予定でしたが、新型コロナの影響で中止に…。今回が念願の開催となりました。平和公園までの1.2キロの沿道で当事者のアピールに手を振って応える人が途絶えることはありませんでした。

みどりさん(仮名)
「楽しかったです。みんなが応援してくれている感じがしてうれしかったです」

なおさん(仮名)
「第一歩だからね。よかったと思います。次にどんどんつながっていけたら」

参加の当事者
「第一歩がすごくうれしくて。ゼロから1がいちばんたいへんだし、いちばん大事だと思う。実際歩けて、『ここにおるよ』って、いちばんわかりやすい形だと思うので、そういうのを示したりとか、それに快く楽しく一緒に手を振ってくださる方がいたのはすごくいい日だったなって」

最初の一歩としては手ごたえをつかめました。

広島県セクシュアルマイノリティ協会 野元恵水 さん
「締め切り間近になると、どかどかっと参加応募の申し込みがありましたし、あとはアライ(理解者)の方も積極的に参加していただいて、本当に多様性に富んだグループになったなと思ってうれしく思っています。違うってことは怖いかもしれないけど、決して間違いじゃないんだよということをお互いに認め合えるような街になっていけたらいいなと思っています」

「誰もがありのままの自分らしく居られる街へ」―。少しずつ進んでいきます。

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