「鬼ブーム」で御朱印1000枚 開始5年、想定超え大台に 京都・福知山の鬼嶽稲荷

千枚目を受け取った奥野利一さん(左)と妻待美さん(福知山市大江町北原・鬼獄稲荷神社)

 大江山8合目にある鬼嶽稲荷神社(京都府福知山市大江町北原)で地元の北原自治会が参拝者に授与する御朱印が、通算千枚を超えた。自治会メンバーが交代で年間約20日間、社務所に詰めて配ってきた。開始から5年で大台に達し、メンバーは「鬼ブームに乗ったとは言え、若者を含めここまで参拝者が増えるとは思わなかった」と喜んでいる。

 千枚目を受け取ったのは、京丹後市網野町で織物業を営む奥野利一さん(68)と待美さん(同)夫妻。

 2人は商売繁盛の祈とうを受けるため、毎年同神社に参拝している。利一さんが知人の勧めで1986年に初めて訪れ、1組ずつ対面で行う祈とうを気に入ったという。当時は自宅から車で3、4時間かかったが、以後37年間欠かさずにいる。

 例祭が営まれた1日、同神社で祝い授与式があり、2人は神社の管理を担う上総三代春さん(92)から、千枚目と御朱印収集が趣味の長男の分の計2枚を受け取った。利一さんは「いい記念になった。元気なうちは毎年、祈とうを受けたい」と笑顔を見せた。

 御朱印の授与は大江山の鬼伝説が残る神社を盛り上げようと、大江山の麓にある自治会が企画して2018年5月に始まった。縦16センチ、横11センチの紙に酒吞童子の顔のはんこが押されている。自治会メンバーが積雪期を除く4~11月の第1、3日曜を中心に車で約20分かけて山に登り、参拝者に授与してきた。

 北原地区出身で御朱印の製作を提案した大隅茂樹さん(75)=亀岡市篠町=は「地区の人の協力があってこそここまで来られた」と感慨深げに話す。当初は5年で300枚程度を想定していたが、鬼が登場する大ヒット漫画「鬼滅の刃」の人気を受けて開始3年で500枚を超えた。

 自治会メンバーの山尾環さん(75)は「集客力のある施設が少ない中、地域を知ってもらう良いきっかけになっている。今後は神社から望む雲海やブナ林など大江山の魅力を発信していきたい」と話している。

 

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