栃木県第23代森岡知事の肖像画、別人だった 実は...牛島茨城県知事か

県議会史に第23代の森岡知事として掲載されている肖像画。実は別人(県提供)

 栃木県議会発行の「県議会史」などで第23代森岡二朗(もりおかじろう)知事と紹介されてきた肖像画が別人だったことが14日までに、下野新聞社の調べで分かった。過去の新聞記事や他県の資料などから森岡知事の本来の容姿も判明した。取り違えた経緯は不明で、県広報課は「まさか、こんなことがあるなんて」と驚いている。

 森岡知事は奈良県出身。官選知事として島根、青森、茨城に続いて、1929年7月5日~11月8日の約4カ月間、本県の知事を務めた。日本野球連盟の初代会長にも就いていた。

 森岡知事と紹介されてきた肖像画は、髪の毛が短髪で顔は面長、口ひげがある人物。89年発行の「県議会史」の第4巻に掲載され、肖像画自体は現在、県立博物館に保管されている。

 本紙の本日付8面の特集記事「歴代知事はどんな人?」の取材で、肖像画や写真の確認作業中、同連盟初代会長として野球殿堂博物館のホームページに載っていた森岡知事の写真と、肖像画の人物が違っていることに気づいた。

 昭和初期の本紙データを調べたところ、29年7月13日付に「森岡本県知事の着任」との見出しで家族一緒の写真を発見。以前の赴任先だった青森県の「青森県議会史」に写真が載っていることも分かった。2枚の写真の人物は似ている一方、肖像画とは別人だった。

 肖像画の人物は、森岡知事の後任として茨城県に赴任した牛島省三(うしじましょうぞう)知事とみられる。同年7月7日付本紙は、文末に「写真は牛島新知事」と記した茨城県新知事の写真付き記事を掲載。写真と肖像画の人物は酷似していた。その記事の脇には「未知の栃木県へ」とする森岡知事の記事(写真なし)も載っていた。

 同課の赤羽久美子(あかばくみこ)課長(53)は「過去の新聞などを見れば別人だと思う。間違っていた肖像画の正誤表を作るなど何らかの対応を検討したい」と話している。

青森県知事も務めた第23代森岡知事(青森県提供)
森岡知事(写真左)の着任を伝えた1929年7月13日付の本紙記事。「県議会史」掲載の肖像画の人物とは別人
写真付きで茨城県の牛島新知事を紹介した1929年7月7日付の本紙記事
写真右は県議会史に第23代の森岡知事として掲載されている肖像画。実は別人(県提供)。写真左は青森県知事も務めた第23代森岡知事(青森県提供)

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