栃木県那須塩原市塩原方面へ取材に行く際には必ず通る、国道400号下塩原バイパス。その道中に「がま石トンネル」と「潜竜峡トンネル」がある。2本のトンネルに四つある出入り口の形状や銘板の有無について、1カ所だけ明らかに異なるとの声が下野新聞「あなた発 とちぎ特命取材班」に寄せられた。普段何げなく通過している現場に向かった。
まず四つの出入り口を、じっくり見比べてみると、潜竜峡トンネルの西那須野側だけが、明らかに簡素な構造になっていた。斜めに切り取られたような形状で、コンクリートで固められていない。トンネル名が書かれた銘板もここだけない。ほかの3カ所はコンクリートの壁で囲まれ、頑丈な印象だ。
そこで、道路を管理している県大田原土木事務所を訪ねた。
トンネルの出入り口の形状の名称について、3カ所は「面壁型」、もう一つは「竹割型」だという。面壁型は周辺が急な場所でしばしば用いられ、地盤や土砂が崩れにくい構造だ。
一方、竹割型は、割った竹を斜めに切ったような形式。緩やかな地形で採用されやすい。出入り口を広く見せられ、進入時の圧迫感を減らせるため、高速道路でよく採用されるという。
二つのトンネルについても「地質や地盤、コストなどを総合的に考慮して採用形式を決定している」と担当者。潜竜峡トンネルの西那須野側だけ竹割型になったのは、ほかの3カ所に比べ、もともとの地形が緩やかだったことが要因の一つのようだ。トンネル名の銘板がないのは、「単に設置するスペースの問題ではないか」と話す。
何の気なしに通っているトンネルにも、専門的な知見や技術が生かされていることを垣間見た。