子育てカラスにご用心 専門家「ひな触らず見守って」

㊧ひなを守るため、大きな声で鳴きながら人を警戒する親ガラス、㊨うまく飛び立てず、周囲の様子をうかがうひな

 子育て中のカラスにご用心―。3~7月ごろにかけて繁殖期を迎えるカラスが、巣やひなを守ろうと人を威嚇する行動を取っている。盛岡市内の公園では、親ガラスが利用者の頭上を飛び交い警戒。近くの小中学校や学童保育クラブが児童生徒に注意喚起した。市街地に姿を現すカラスは、岩手県民生活と距離が近いがゆえに厄介者扱いされることもあるが、専門家はひなを守る親鳥特有の行動だとして「遠くから優しく見守って」と促している。

 鳥類の生態に詳しい県立博物館専門学芸調査員の高橋雅雄さん(40)によると、カラスは「夫婦」で子育てする。母鳥が春先に産卵。ひなは7月ごろまでに巣立つが、この時季の親鳥は人が近づくと、巣やひなを守るために警告してくることもあるという。

 巣からうまく飛び立てず、地面に落ちてしまうケースも少なくない。高橋さんは「人が触ったりつかんだりすると、親はその様子を見ていて威嚇してくることもある。カラスは頭が良く、人の顔を識別できるため、一度怒らせたら同じ場所を通るたび警戒される場合もある」とひなに触らないよう警鐘を鳴らす。

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