日光二荒山神社、国宝の名刀など一挙公開 宝物館で特別展、来年5月まで

内覧会で解説する小川さん(右から2人目)ら

 【日光】日光二荒山神社が所蔵する2振りの国宝などが並ぶ特別展「名刀 御神宝」が15日、奥日光の日光二荒山神社中宮祠にある宝物館で始まった。会場には「備州長船倫光(びしゅうおさふねともみつ)」と「来国俊(らいくにとし)」の国宝2振りに加え、奉納刀剣や皇室ゆかりの秘宝、男体山山頂遺跡の出土品などを展示。同神社の中麿輝美(なかまろてるみ)宮司は「神社が誇る数多くの名刀、名品を一挙に公開した。ぜひこの機会にご覧いただきたい」と話している。来年5月15日まで。

 特別展は当初、2020年に山内にある同神社本殿の大規模修理の完了記念として実施予定だったが、新型コロナウイルスの影響で延期された。今回は修理完了に加え、男体山頂鎮座1240年、栃木県誕生150年、宝物館開館60周年を記念して実施した。

 展示は米国のメトロポリタン美術館の武器武具部名誉特別顧問などを務める小川盛弘(おがわもりひろ)さん(76)が監修した。国宝2振りに加え、来国俊を収める国宝の「黒漆蛭巻太刀拵(こくしつひるまきたちこしらえ)」や国重要文化財(重文)の大太刀「祢々切丸(ねねきりまる)」、明治天皇の皇后だった昭憲皇太后御物の「御所車香炉」など数ある所蔵品からえりすぐった約100点を展示。この規模での展示は2012年に実施して以来という。

 備州長船倫光は総長159センチあり、有銘の太刀の中で日本一の長さを誇る。一方、71.2センチの来国俊は在銘の中で最も短いものだという。このほか、山頂遺跡から発掘された国重文の品々などが並ぶ。

 14日には地元関係者らを招いた内覧会が開かれ、小川さんが名品の数々を解説。小川さんは「これほどの御下賜品や国宝2振りが見られる場はあまりない。栃木の人はとても恵まれており、これほどの名品だけを並べて勉強できる機会はほとんどない」と話した。

 一部で展示替えを予定。開館時間は10月までと来年4月は午前8時半~午後4時半、11~3月は午前9時半~午後3時半。年中無休(臨時休館あり)。大人千円、小中学生300円。(問)日光二荒山神社中宮祠0288.55.0017。

内覧会で解説する小川さん(手前)ら

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