富山駅北で整備されたオーバード・ホール中ホールの一般向け内覧会が17日開かれ、来場した市民らは「観客席と舞台が近い。一体感を味わえそう」と7月1日の開館を心待ちにした。富山市が「ちょうどいい大きさ」を目指した新ホールは最大652席で、多様な使い方ができることが特長。市民団体などの芸術、芸能の発表が活発になるよう期待する声も聞かれた。
中ホールはオーバード・ホールに隣接する富山市牛島町で建設された。17日は内覧会が始まる午前10時前から約60人が列をつくり、来館者がステージ上で写真を撮ったり、音楽鑑賞室でレコードに耳を傾けたりした。
来年に公演を予定する市民劇団「劇団みろく座」(同市)の髙嶋麻貴子さん(56)は「客席と舞台の一体感がとても魅力的」と絶賛した。ホールの規模を肌で感じ「ちょうどいい」と笑顔を見せた。
家族4人で来館した富山市の会社員江尻岳史さん(30)は「1歳と3歳の子育て中なので、子ども向けのイベントが増えるとうれしい」と願った。
来館者は建築家の隈研吾氏がデザインパートナーとして関わった建築物としての魅力にも触れた。入り口付近の吹き抜けのメインロビーやホールは杉板で温かみのある空間が創出されており、意匠を凝らした天井に見入る姿もあった。
オーディオ機器をそろえた音楽鑑賞室やウオーミングアップ室、小部屋の練習室なども関心を集めた。
中ホールは地上4階、地下1階建てで、可動式の客席を備える。平土間や四方を客席に囲まれた「センターステージ」の設営も可能で、舞台は幅20.9メートル、奥行き14.5メートルとなっている。
市によると、ホールの予約は好調で、1年先まで休日はほぼ埋まっている。今年度は記念公演として、来年3月までに洋楽や演劇、伝統芸能など17公演が予定されている。
7月1日の開館日には記念式典とこけら落とし公演が行われ、人間国宝で歌舞伎俳優の坂東玉三郎さんと太鼓芸能集団「鼓童」が出演する。