油揚げ消費日本一の福井から「厚揚げの煮たの」専用だし発売 甘み強めと抑えめの2種類、15分煮込むだけ

福井県食品加工研究所と油揚げの煮物の専用だしを共同開発したカクダイの大津竜一郎社長=6月15日、福井県坂井市丸岡町の同研究所

 豆腐や油揚げ用の大豆、植物油卸売のカクダイ(本社福井県福井市、大津竜一郎社長)と福井県食品加工研究所(坂井市)は6月15日、福井の郷土料理「厚揚げの煮たの」を簡単に調理するために共同開発した専用だし2種類を発表した。廃業する豆腐店の増加を受け、同社が「福井の食文化の継承を通じて油揚げの販売を増やし、豆腐店を元気にしたい」と開発した。16日から県内の道の駅や豆腐店で販売している。

 甘みが強い「油揚げハレの日 煮物出汁」と、甘みを抑えてかつおだしのうま味を加えた「油揚げケの日 煮物出汁」の2種類。いずれも200ミリリットルで648円(税別)。8等分した厚揚げを鍋に入れ、2倍に希釈しただしで約15分煮込むだけ。厚揚げにだしをもみ込めば、電子レンジでも調理できる。

 同社によると、県内の豆腐店は昭和50年代の約150店から現在は約40店まで減少し、県外産の流通も増えているという。油揚げの消費量日本一が注目される一方で、若い世代や観光客に厚揚げの煮たのの作り方が知られていないことから、卸売業の同社初の食品開発に踏み切った。

 昨年5月から社員や豆腐店経営者らから、各家庭の厚揚げの煮物のレシピを収集。県食品加工研究所で検査したところ、甘みと塩味にばらつきがあったため、甘みが強いタイプを浄土真宗の法要、報恩講などの「ハレの日」に振る舞われる煮物のだしと想定。甘みを抑えたタイプは日常の「ケの日」の煮物のだしと位置付け、県外の観光客らにも親しみやすい味にした。

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 16日から道の駅「越前おおの荒島の郷」(大野市)、道の駅みくに(坂井市)、岸田食品(福井市)、ウスヤ食品(越前町)、小坂屋豆腐店(坂井市)、吉田食品(大野市)で販売。23日からはJA福井県直売所「喜ね舎愛菜館」でも販売する。

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