19日は「桜桃忌」 太宰ファンら、生家に集う 青森・五所川原市金木町

「斜陽館」の座敷で太宰作品を読んだ感想文を発表する金木中3年の角田さん(左)=19日、五所川原市金木町
女声合唱団による太宰賛美歌が響く中、献花に向かう参加者=19日、五所川原市金木町の「斜陽館」

 19日は青森県五所川原市出身の作家太宰治の忌日で生誕日でもある「桜桃忌」。同市金木町の太宰治記念館「斜陽館」では生誕114年を記念する「文学講座・朗読会」が開かれた。参加したファンや関係者ら約100人が作品の朗読や地元の小・中学生による読書感想文の発表に耳を傾け、郷土愛豊かだった太宰の人柄をしのんだ。

 市教育委員会が主催。2022年までは金木地区内の芦野公園で生誕祭や顕彰事業を行っていたが、今年は初めて生家である斜陽館で開催した。1階の座敷を使って行われた会は、地元のお話サークル「すずめっこ」による『黄金風景』の朗読で開幕。続いて、金木小6年の工藤洸大君と米谷桜月さん、金木中3年の角田稜馬さんと澤田萌花さんの4人が、それぞれ感想文を発表した。

 漫画家になりたいという米谷さんは『魚服記』を読んだ感想を紹介し、「太宰のような想像力豊かな人になりたい。私が有名になれたら、金木をもっと有名にしたい」と熱い思いを語った。

 最後は、金木女声合唱団チェリーコールによる太宰賛美歌が響く中、館内の米蔵前に置かれた太宰の銅像に参加者全員で献花し、郷土が生んだ偉大な作家に思いをはせた。

 一方、芦野公園にある太宰治文学碑にも、県内外の太宰ファンが次々に訪れ、花や太宰が好きだったサクランボをささげた。愛知県豊田市から来たという小学6年生の宮川こひるさん(12)はアニメをきっかけに太宰の作品が好きになったと言い、「太宰治が好きで、青森に行きたいと思っていた。とてもうれしい」と感激していた。

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