オーストラリアのクルーズ客船「シーニック・エクリプス」(総トン数1万7545トン)が19日、八戸港に入港した。青森県によると、同港に外国クルーズ船が寄港するのは初めて。着岸時には市民らがえんぶりの舞や旗を振るなどして歓迎した。八戸市の観光関係者は「外国人に八戸の魅力を知ってもらうきっかけになれば」と期待した。
同船は乗客定員228人、全長168メートル。クルーズ船としては小型だが、ヘリコプターや潜水艦を備え探検クルーズを得意としているという。今回は韓国と日本を巡るクルーズの途中で、17日夜に前の寄港地の東京港を出港。19日午前8時ごろ、八戸港の八太郎4号埠頭(ふとう)に着岸した。
岸壁では同市の大久保えんぶり組の太夫や子どもたち約30人が摺(す)りや舞を演じた。えんぶりの由来なども英語で解説し、青森県の伝統芸能をPRした。同組の大館恒夫代表は取材に「外国人に日本の文化の一端を少しでも分かってもらえたと思う」と話した。
乗客はバスに分乗し、種差海岸の散策や市内の酒蔵巡り、奥入瀬渓流や十和田湖を訪れる日帰りツアーに向かった。同船は同日夜、次の寄港地の室蘭港(北海道)に向かった。
岸壁で乗客を出迎えた八戸圏域の観光地域づくり推進法人(DMO)VISITはちのへの阿部寿一専務理事は「(コロナ下では)海外に向けて魅力を発信してきたが、今後は外国客に実際に八戸を体感していただき、SNS(交流サイト)を通じてその体験談が世界に広まることを期待したい」と語った。