「日本人の魚離れ、本当か」新鮮魚介をその場で調理 新たな業態に挑戦

店内で魚を並べる上林さん(舞鶴市上安久)

 京都府舞鶴市の上林大基さん(35)は「その場で食べられる魚屋さん」という新しい業態の鮮魚店「サカナテラス」を2019年、舞鶴市内に開業した。店頭には市場で仕入れた新鮮な魚介が並び、その場で調理してもらってイートインスペースで味わうこともできる。

 より多くの人に魚をもっと気軽に食べてほしいとの思いで考案したスタイルだ。「魚離れと言われるが、実際には魚の調理離れではないか。日本人が魚を嫌いになったわけではないはず」と語る。

 舞鶴市出身で、京都市内の大学に進学。起業の資金集めのため休学してアルバイトに奮闘していたが、外の世界を見てみたいと自転車での日本一周を始めた。途中でトレーラーにひかれる不運な事故に遭い、療養のため地元に戻った。

 京都市内での起業を想定していたが、事故を契機に舞鶴へ戻ったことも「一つの縁」と、地元で飲食店を開業することを決意。2012年に熟成肉の定食屋と大衆向けの鮮魚居酒屋を相次いでオープンした。

 鮮魚居酒屋では仕入れに力を入れ、卸業者のセリに同行してその場で注文した。熱心さに感心した卸業者の助力もあって仲買人資格も取得。仕入れた魚介を直接消費者に届ける小売にも関心が向き、飲食店経営の経験を生かせる形としてサカナテラスを始めた。

 今夏には、舞鶴市で人気の観光スポットでもある舞鶴赤れんがパーク内に2店舗目のサカナテラスを出店する。クラウドファンディングでの資金集めでは、多くの取引先やお客さんから支援してもらっており「期待の重みを感じた。よりがんばらないといけない」と気を引き締めている。

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