愛された酒場のカレー、半世紀の歴史に幕 魚津の「モルト」、マスター渡部さん「感謝」

オープン時から変わらない店内で感謝の思いを伝える渡部さん

 富山県の魚津駅前で親しまれたカレーとコーヒーの店・スナック「モルト」が20日に閉店し、半世紀の歴史に幕を下ろした。ウイスキーやカクテルなど豊富な酒類のほか、看板メニューの自家製カレーライスが人気で、昼夜を問わずファンを楽しませた。マスターの渡部政弘さん(85)は「毎日が楽しかった。ありがとうの気持ちでいっぱい」と感謝を伝えた。

 モルトは1976年にオープン。富山市桜木町のバーなどで修業した渡部さんが魚津駅前のビル2階に店を構え、妻の玲子さん(76)と共に切り盛りした。

 開業当初からランチタイムも営業。「コーヒー&カレー」の看板を屋外に掲げ、1週間かけて煮込むカレーは市民や駅利用者らの人気を集めた。こく深く絶妙な辛さが食欲をそそる味に常連客は多く、酒を飲んだ後の「締めの一皿」としても愛された。

 渡部さんは今春、高齢に伴う体力面の不安を理由に、自身の誕生日で閉店することを決めた。娘の幸恵さん(52)と息子の寛之さん(43)も手伝った営業最終日は、午前11時の開店直後から満席となり、夜は常連が酒席を囲んだ。

 渡部さんは「精いっぱいやり切った。今後は少し、のんびりと過ごしたい」と話した。

看板メニューだったカレーライス

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