「永世竜王」懸けた渡辺vs羽生の封じ手、町に寄贈 青森・おいらせ、将棋記念館に展示へ

将棋界初の永世竜王を懸けた7番勝負第1~5局の封じ手
成田町長(右)に封じ手を手渡す中戸さん

 9日に日本将棋連盟会長に就任した羽生善治九段と、渡辺明前名人が2008年に対局した第21期竜王戦7番勝負第1~5局の封じ手を、青森県おいらせ町の日本将棋連盟名誉会員で棋道正師範の中戸俊洋さん(80)が、同町に寄贈した。封じ手は知人から譲り受けたもので、6月下旬から同町の大山将棋記念館に展示される。将棋界初の永世竜王を懸け、全国の注目を集めた貴重な資料を目にすることができる。

 封じ手は対局が1日で終わらず持ち越される場合、翌日先に指す人が、次の手を紙に書いて封じ入れ、勝敗の有利、不利をなくす手法。藤井聡太七冠が史上最年少で二冠となった20年の第61期王位戦7番勝負の封じ手はインターネットオークションで1500万円の値を付け、話題となった。

 第21期竜王戦は当時の渡辺竜王に対して挑戦者・羽生名人が互いに永世竜王の資格を懸けて行われた7番勝負。08年10月のフランス・パリでの第1局に始まり、同年12月の第7局(山形県天童市)で勝負を決した。対局では渡辺竜王が3連敗からの4連勝と大逆転を果たし、初の永世竜王資格獲得者となった。

 中戸さんは5月、都内の収集家の知人から封じ手を譲り受けた。自身が初代館長を務めた大山将棋記念館への展示を希望し、6月12日に町役場を訪問。成田隆町長と松林義一教育長と懇談し、封じ手を渡した。

 封じ手は第1、3、6、7局が羽生名人で、第2、4、5局が渡辺竜王のもの。中戸さんによると、第6、7局も譲り受ける予定という。中戸さんは「第1~5局までまとめて寄贈を受けるのは珍しい。これが全7局までそろうと本当に大変な価値になる。非常に貴重なものだからぜひ見てほしいと思って寄贈した」と話した。

 大山将棋記念館の開館時間は午前9時~午後5時。入館無料で、月曜休館(祝日の場合は翌日休館)。

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