カエルの手足再生、仕組みを可視化 再生医療応用の手掛かりに 弘前大・横山准教授

カエルが手足を再生する際の遺伝子レベルの動きを可視化する実験に成功した弘大の横山准教授

 弘前大学農学生命科学部の横山仁准教授(49)らの研究グループが、カエルが手足を再生する際の遺伝子レベルの動きを可視化する実験に成功した。カエルなどの両生類は高い再生能力を持っており、そのメカニズムに注目が集まっている。横山准教授らは、病気などで四肢を失った人の再生医療への応用を目指す上で手掛かりになれば-と期待を寄せている。

 カエルは、オタマジャクシ(幼体)の時には四肢を切っても指まで正常な形で元通りにできる。しかし、成体のカエルになってからは棒状の1本の軟骨が作られるのみで、指まで再生することができない。これまでの研究で、その理由は「四肢エンハンサー」と呼ばれるゲノム(全遺伝情報)の領域が、成体になると働かなくなるため-と予想されてきたが、実証されてこなかったという。

 横山准教授らは、遺伝子組み換え技術で、この領域が働いた時に光るように卵を加工。その卵から生まれたカエルやその子どもを調べた結果、オタマジャクシは再生の過程で四肢が光るが、成体では光らないことを複数の系統で確かめた。

 横山准教授が東北大学で助教をしていた時から取り組んでいた研究で、約10年越しで形になった。遺伝子組み換え技術は、広島大学両生類研究センターの荻野肇センター長が協力。弘大大学院生の多田玲美さん(青森市出身)、横山千風優さん(五所川原市出身)、奈良咲さん(青森市出身)も携わった。成果は5月28日付で生物学の国際的な学術誌に掲載された。

 横山准教授は「再生医療への応用には、まだまだクリアしなければいけないステップがあるが、この研究がその一つとして役に立つことを期待している」と話した。

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