マンション開発さらに過熱 野々市、明治工場跡で計画

マンション計画が浮上している明治の旧北陸工場跡地=野々市市堀内4丁目

 石川県内で分譲マンションの開発が一段と過熱してきた。野々市市堀内4丁目にある明治の旧北陸工場跡地では大手デベロッパーによるマンションの開発計画が浮上し、金沢市中心部でも複数の計画が進行している。コロナ禍を経て、感染症の動向に需要を左右されやすいホテルからマンションに投資対象が移っており、県外資本は競うように用地を物色している。

 明治の旧北陸工場跡地は約2万平方メートルあり、現在、建物の解体や整地が進んでいる。関係者によると、敷地内の一部にマンションを建設する計画が持ち上がっており、県外の大手デベロッパーが水面下で準備を進めているという。

  ●1億9000万円にも買い手

 一方、金沢市中心部でもマンション開発や建設用地を探す動きが盛んだ。

 金沢駅西エリアでは野村不動産(東京)などが金沢市北安江3丁目で15階建てマンション「プラウドシティ金沢」を建設中で、来年1月の入居開始を予定する。最高価格は1億9千万円と高額だが、購入希望者が殺到し、買い手は抽選で決まったという。

 一帯ではこのほか、タカラレーベン(東京)が長田1丁目で「レーベン金沢ウエストサイドビジョン」、穴吹工務店(高松市)が広岡2丁目で「サーパス金沢広岡」の工事を進めており、年内にも完成する見込み。フージャースコーポレーション(東京)は広岡2丁目で既存のマンションを取得しており、開発を加速させるとみられる。

  ●感染拡大リスク回避

 2015年の北陸新幹線金沢開業を機に活発化したマンション競争が、ここに来てさらに盛り上がっているのは、ホテルに比べて安定した需要が見込めるためだ。

 新型コロナ前はホテル開発の動きが相次いだが、感染拡大後は状況が一変。観光客の入り込みは急減し、計画が凍結、白紙となるケースもあった。

 5月にコロナの感染症法上の位置付けが「5類」に移行したことで、ホテルの需要も一時よりは戻ってきたものの、開発事業者の間には警戒感が残る。一部では「第9波」の到来を予測する声もあることから、金沢の不動産関係者は「感染拡大時のリスク回避を考え、ホテルから需要が底堅いマンション開発に乗り換える事業者が多いのではないか」と見立てた。

 不動産情報サービスの東京カンテイ(東京)のまとめでは、2021年の石川県内の新築マンション平均坪単価は207万円で、10年前の2倍超となった。地価が上昇した金沢駅周辺や金沢中心部といった好立地で開発が進み、数字が跳ね上がった。

 一方、立地によっては売れ残りが発生する物件も見られるようになり、不動産関係者からは「既に供給過多だ」との声も上がっている。

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