黒塗り文字、読める状態に…南浦和中1自殺、さいたま市教委「調査報告書」誤掲載 匿名の通報を受け判明

マスキング(黒塗り)されて、さいたま市のホームページに掲載された調査報告書。誤って読み取れる状態で一時公開された

 埼玉県さいたま市教育員会は23日夜、市立南浦和中学校1年の男子生徒の自殺を巡る調査報告書について、マスキング(黒塗り)した文字がコピーにより、読み取ることができる状態で、市のホームページ(HP)に掲載する誤りがあったと発表した。市教委は「多大なるご迷惑をおかけした関係者の皆さまに、深くおわび申し上げます」としている。

 市教委指導2課によると、23日午後2時半ごろ、第三者委員会の調査報告書を市HPに掲載した。午後3時50分ごろ、匿名の男性からの通報を受けミスが判明。

 調査報告書のPDFファイルのマスキング部分をコピーして、ワードに貼り付けると、文字が読み取れる状態だった。

 一時公開停止するまでの1時間23分の間に59回のアクセスを確認。同課職員らのアクセスも含むとしている。午後4時40分ごろ、読み取れないように編集して改めて掲載した。

 調査報告書は、遺族と市教委、第三者委が長期間をかけて、黒塗りする部分を協議して公表した。当事者の名前など個人情報が流出した可能性があり、同課は「ミスをしたことは申し訳ない」と謝罪し、チェックを徹底して再発防止に努めるとしている。同様のミスは以前から、全国の自治体で報告されていた。

 母親は取材に「私たち家族も含め、(調査に協力した)他の人たちも被害者。市教委は個人情報を盾にして、開示できないと言い続けてきた。今後このようなことがないようにという問題ではない。最後にこんな発表のされ方をして、ずさんとしか言いようがなく、あきれてしまう」と話していた。

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