県内から高校生外交官2人 今夏、米国の生徒と交流

高校生外交官プログラムに向けた意気込みを語る大澤さん(左)と奈良さん=金沢市内

  ●奈良さん(金大附)京都で石川を紹介「茶道の精神伝える」

  ●大澤さん(泉丘)米国務省など訪問「視野広げる機会に」

 今夏、国内の高校生が「外交官」として米高校生と交流するプログラムに、石川県内から金大附属高2年の奈良実月さん(16)と泉丘高3年の大澤瑠真さん(18)が参加する。7月の夏休み期間中、奈良さんは京都で米国の生徒を迎え、大澤さんは渡米する。2人は「石川の代表者としてふるさとの魅力や課題を米国の参加者に伝えたい」と意気込んでおり、本番に向けて準備を進めている。

 2人が参加するのは「AIG高校生外交官プログラム」で、AIG損保などでつくる実行委が主催する。渡米プログラムと、米国の高校生を迎える日本プログラムがある。全国から約700人の応募があり、約20倍の狭き門に県内から2人が選ばれるのは珍しいという。

 大澤さんは7月18日に米国に入り、米国務省やIMFなどを訪問し、英語で質疑応答する。奈良さんは広島や東京を巡った米国の高校生を迎え、京都をガイドする。2人は両国の施設で日米の高校生と10日間の共同生活を送り、日本についての発表を行う。

 大澤さんは各地から訪れるメンバーとともに出身地の特徴を発表する。金沢市の「加賀宝生子ども塾」で能楽に触れた経験を生かして伝統文化や工芸の魅力と課題を語るほか、輪島の漆器店の協力を得て輪島塗を持参して紹介する。

 日本の憲法をテーマに発表を行う奈良さんは、当日に向けて県選出の国会議員に取材したり、国会を見学したりして学びを深めている。日本文化に触れるクラブ活動では、茶道家である父の奈良宗久さんから学んだ茶道の歴史や作法について説明する。

 100歳を迎えた今も平和外交に尽くす裏千家の千玄室大宗匠に感銘を受けているという実月さんは「茶道の平和の精神を伝えたい」と話した。

 また、大澤さんはプログラムへの参加が決まったことを機に石川について深く調べたといい、「知っているつもりでも説明できない事柄が多く、故郷を改めて知る契機になった。米国で視野を広げたい」と意欲を語った。

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