熱海土石流被災者「2年間何やってたの?」宅地復旧方針は二転三転…“説明不十分”と不満爆発

6月23日に行われた住民説明会は怒号が飛び交いました。熱海土石流からの復興計画をめぐり、静岡県熱海市の方針が二転三転した上、説明も不十分なまま事業を進めようとしていることに住民の不満が爆発しました。

2023年7月3日で土石流災害から2年が経つ熱海市伊豆山地区。

<神谷修二記者>

「熱海市伊豆山です。この道路のアスファルトの色が変わっている部分は、ガスと水道管が埋められていて、被災地のライフラインの復旧作業が徐々に進められいています」

この伊豆山地区で暮らしていた124世帯217人がいまだ避難生活を送っています(5月末時点)。市が掲げる9月1日の警戒区域の解除に向けて、ライフラインなどの復旧が進む一方、土地の問題をめぐり住民の不満が爆発しました。

<被災者>

「なぜこの案が上がってきた時点で被災者や議会に諮らずに決定して、被災者は決定通知が送られてきただけ。また市民の代表である議員はマスコミ報道や会見で知った。なぜ、逆になるのか?市長に聞いてます。市長が話し合いに出てこないから」

<熱海市 稲田達樹副市長>

「副市長の稲田です」

<被災者>

「市長に聞いてるんですよ!」

住民が問題視しているのは、熱海市が掲げる宅地復旧に対する補助金制度です。以前、市は被災した宅地をいったん市が買い取り分譲する方式を住民に示していましたが、23年5月になって被災者自ら宅地を造成し、復旧費用の9割を補助する方式に方針転換。しかし、6月21日に行われた市議会で議員から“説明不足”を指摘され、一度は提出した関連費用を盛り込んだ補正予算案を取り下げました。

<被災した住民>

「実際もっと対話する場があってもよかったと思う。信頼関係がないんですよ。信頼関係がない中でこういう議論を重ねても不信感しかないんですよ。みんな」

住民は二転三転した方針に加え、市から被災者への説明も十分ではないと指摘しました。発災から1年7か月後の23年2月に母親が災害死と認定された太田朋晃さんは要望書を市長に手渡しました。

<土石流災害で母親を失った太田朋晃さん>

「なんでこうやって渡すか分かりますか。どこに行っても聞いてもらえないからこの場で市長に渡すんですよ」

要望書には市の復興計画に自分たちの意見が反映されていないと感じている被災者の声が数多く記載されていました。

<土石流災害で母親を失った太田朋晃さん>

「2年間何やってたのって?やっと2月に母親が出て来て、一段落して自分のことができるかなと思ったら、こんなありさまで申し訳なくてしょうがない」

<熱海市 斉藤栄市長>

「住民の皆さんへの説明のタイミングが事務的な齟齬になってしまったことは反省すべき点だと思っている。信頼関係という言葉がありましたが、誠実に対応していくことで応えていくしかないと思っている」

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