亡き夫と始めた喫茶店に華やか新名物 「すてきな出会い運ぶ」カサブランカ、店主の励みに 神戸・長田

店先に咲いたカサブランカをめでる小竹雅子さん=神戸市長田区檜川町1

 神戸市長田区北部の丸山地区にある喫茶店「赤倉」の店先に、黄、白、ピンクなど色とりどりのカサブランカが咲いている。常連客にもらった球根を育て、見頃を迎えた。店主の小竹雅子さん(85)は「花がすてきな出会いを運んでくれる」とほほ笑む。

 小竹さんは定休日の金曜日以外、毎日午前7時から午後2時まで、自宅1階で店を開く。もとは実家が営む旅館だったが、コーヒー好きの夫と改装。7年前に夫が他界してからは、パート従業員の手を借りながら営業を続けている。

 小竹さんが花好きで、店内に必ず生け花を飾ることを知る常連客から昨年末、球根約20個をプレゼントされた。プランターに植えて水やりを続けると、今月、大きな花を咲かせた。「こんなに立派に咲くなんて」と驚く。

 昭和初期には遊園地や旅館があり「神戸の奥座敷」と呼ばれた丸山地区に店を構えて53年。顔なじみの客が多い中、「きれいな花に誘われた」と初めて来店した客がいた。小竹さんは新たな出会いを喜びつつ「地域の皆さんから愛されるお店を、元気な限り続けたい」と穏やかに話している。 (小野坂海斗)

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