バリスタしながら撮影に奔走 「コーヒーで人をつなぐ」素の温かさ動画で配信

「南山城村の人たちの温かさを伝えたい」と話す井深さん(南山城村北大河原)

 「茶畑が広がる南山城村で、コーヒーで人と人とをつなぎたい」。京都府南山城村の魅力をユーチューブで発信している「小川珈琲」のバリスタ、井深立樹さん(25)=京都市伏見区= は、1年前から動画投稿サイト「ユーチューブ」で、村の魅力を発信している。府内唯一の村は、日本創成会議が発表した「消滅可能性都市」に含まれた。その村に何かできることはないかと挑戦を続ける。

 将来はジャズ喫茶の店を始めるのが夢で、本格的にコーヒーを学ぼうと4年前に「小川珈琲クリエイツ」に入社した。現在は京都市右京区の本店で、多い時には1日300杯ほどのコーヒーを入れている。

 動画配信を始めた頃は、同村野殿の築50年以上の古民家を拠点にしていた。古民家の草刈りを村民が手伝ってくれるなど、住民たちの輪に溶け込み、人間関係を育んだ。「素で接して、思ったことをそのまま伝える」と井深さん。そうして築いた関係は「ご飯をごちそうになったり、孫のように扱ってもらったり。(村民は)親戚のおっちゃん、おばちゃんみたいな存在」とほほ笑む。

 これまでに配信した動画は16本。柿渋を取材するために柿を収穫する農家や茶工場に足を運んだ。結婚を機に村外に出て行く女性の追い出しパーティーに招待され、トランペットを演奏し、コーヒーを振る舞ったことも。村内の35カ所以上で撮影し、村へ移住した人や農家、陶芸家などさまざまな人たちと出会った。

 現在は月に1回、村を訪れて撮影に奔走している。「村の人たちは温かい。その素の魅力を引き出せた動画を配信できれば、見た人がここに来たいって絶対に思えるんじゃないかな」。

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