●上市1時間101ミリ、立山・白岩川ダム緊急放流、下流越水
●立山、上市町に避難所 土砂崩れで道路、地鉄止まる
富山県内では28日、大気の状態が非常に不安定となり、立山、上市両町を中心に局地的に強い雨が降った。上市町では午後4時までの1時間に101ミリの猛烈な雨を観測、気象庁が今年初の記録的短時間大雨情報を発表した。白岩川ダム(立山町)で緊急放流を実施。同川下流が越水し、立山町内で住宅の床下浸水1軒が確認された。両町では避難所計8カ所を開設し、午後9時時点で約170人が避難した。各地で土砂崩れが起き、道路が通行止めとなった。
富山地方気象台によると、降り始めの27日午後9時から28日午後9時までの降水量(アメダスによる速報値)は、上市町東種120.5ミリ、立山町芦峅110.5ミリ、魚津市87.5ミリ、黒部市宇奈月81.0ミリ、朝日町61.5ミリ。気象台は上市町、立山町、富山市山間部に土砂災害警戒情報を発表し、厳重な警戒を呼び掛けた。
富山県は土砂災害警報の発令に伴い、防災・危機管理課職員が県防災危機管理センターで情報収集に努め、非常配備体制を取った。白岩川ダムが満水に近づいたため、午後4時20分から約40分間、緊急放流を行った。白岩川は同5時半に交益橋水位観測所(上市町)で氾濫危険水位4.8メートルを超える5.14メートルとなったが、同8時50分時点で2.52メートルまで下がった。
立山町は谷口体育館、日中上野公民館など6カ所に避難所を開設し、計約100人が避難した。午後9時半時点で2カ所を閉所。町の担当者によると、宿泊する住民もいる見通し。上市町は柿沢会館、弓庄公民館を避難所とし約70人が身を寄せた。両方とも午後8時半ごろ、閉所した。
●人的被害確認されず
立山、上市町などによると、人的被害は確認されていない。白岩川で堤防越水が2カ所、立山町四谷尾で住宅1件が床下浸水した。上市町内では玄関前まで水が迫っている住宅が2件あった。職員らが被害状況を確認している。
立山町横江の県道で土砂流出と冠水が発生。県道富山立山公園線などが通行止めとなった。
立山町の富山地鉄立山線横江―千垣駅間で土砂崩れが起きた影響で、夕方ごろから岩峅寺―立山駅間が運休となった。富山地方鉄道(富山市)は29日、同区間で始発から運転を見合わせる可能性があるとしている。
富山地方気象台によると、北陸地方に暖かく湿った空気が流れ込み、上空約9千メートルに氷点下33度以下の寒気が流れ込んだ。海から吹き上げる風と山から吹き下ろす風が中新川地域の上空でぶつかり、集中的に雨を降らせたとみられる。
●県内広く真夏日
28日の富山県内は暖かく湿った空気や上空の寒気の影響で雨または曇りで、雷を伴う所があった。最高気温は氷見市32.6度と今年最高を記録。富山市中心部33.3度など全10観測地点のうち上市町(29.4度)を除く9カ所で30度以上の真夏日となった。
高岡市消防本部によると、同市で用水を掃除していた80代男性が熱中症疑いで搬送された。