視覚障害のある人の踏切事故を防ごうと、兵庫県尼崎市は市教育・障害福祉センター(同市三反田町1)付近にあるJR神戸線の3踏切にエスコートゾーン(誘導標示)を設置した。踏切の内外でサイズの異なる点字ブロックを敷き、安全に踏切を渡りきれるようにしたという。県内のJRの踏切での設置は初めて。(中川 恵)
2022年4月、奈良県大和郡山市の踏切で全盲の女性が電車にはねられ亡くなった。この踏切内には点字ブロックがなく、踏切手前のみに設置されていたが一部がはがれていた。女性は踏切内にいることに気付かず、引き返そうとして電車に接触した可能性があるという。
この事故を受け、国土交通省は同6月、ガイドラインを改定。踏切手前の点字ブロックや踏切内の誘導標示を積極的に整備するよう求めている。
尼崎市はまず、視覚障害者がよく利用する同センターに近い三反田▽東七ツ松▽七ツ松-の3踏切を整備した。外側には注意喚起のための黄色い点字ブロックを設置。踏切内の歩道部分には、外側とは異なる形の突起があるエスコートゾーン(幅45センチ、白色)を設けた。突起をたどることで車道にも踏切の外にも落ちることなく渡ることができるという。
尼崎市内にはJRで10カ所、阪急電鉄で17カ所、阪神電鉄で1カ所の踏切がある。うち市の管理は25カ所で、市は残りの22カ所についても鉄道会社と協議し、優先順位の高いところから設置していく方針。