人気絵本シリーズ「ぞうのエルマー」原画ずらり 日本最大規模、170点展示 姫路文学館で特別展

会場では原画と絵本を見比べて楽しめる=姫路文学館

 カラフルなパッチワーク模様の象が活躍する「ぞうのエルマー」シリーズで知られる英国の絵本作家デビッド・マッキーさんの特別展「ぞうのエルマー絵本原画展」(特別協力=神戸新聞社)が、兵庫県姫路市山野井町の姫路文学館で開かれている。エルマーや、ロシアのウクライナ侵攻で注目されている「せかいでいちばんつよい国」の原画など約170点を展示。そばには市販の絵本も置かれ、見比べられる。(上杉順子)

 昨年4月に87歳で亡くなったマッキーさんは、風刺画家を経て1968年に「ぞうのエルマー」を発表。約30作品ある同シリーズは、60以上の言語に翻訳されている。日本でも76年から刊行が始まり、現在オリジナルとしては23作品が流通する。

 今回は日本開催としては最大規模で、没後初の回顧展でもある。国内で刊行されているエルマーシリーズの原画81点、未刊行7作品の原画53点などが並ぶ。英国でアニメ化された「ミスター・ベン」シリーズなど他の絵本の原画、マッキーさんが友人らを喜ばせようと、文通の際に絵を描いた封筒もある。

 エルマーシリーズは、最初はエルマーに「他の象と外見が違う」という悩みがあるが、その後は仲間と協力して問題を解決し、喜びを分かち合う。正体が分からないものを怖がっていたら実はかわいらしい生き物だった、宝物を探していたら実は目の前にあった-など、大人も深く考えさせられるような話が多い。

 「せかいで-」は、米国のイラク侵攻に憤ったマッキーさんが2004年に発表。世界中の人を幸せにするために世界を征服したある大国の大統領の話で、示唆に富むストーリーが約20年の時を経て再び注目を集める。担当の甲斐史子学芸員は「今の時期にこそ見てほしい作品」と話す。

 9月3日まで。午前10時~午後5時。一般700円など。毎週月曜(7月17日、8月7日を除く)と7月18日は休館。姫路文学館TEL079.293.8228

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