長崎・松浦市のコンビニ強盗致傷から1週間 有力な手がかりなく、住民不安 県警が情報提供呼びかけ

事件現場のコンビニ周辺の草むらを調べる捜査員=27日午前11時19分、松浦市御厨町

 22日未明、長崎県松浦市御厨町のコンビニ、デイリーヤマザキ松浦御厨店で起きた強盗致傷事件から29日で1週間。40代の男性従業員と60代男性客をバールで殴り、現金数万円を奪って逃走した人物に関する有力な手がかりは得られていない。県警は80人態勢で、現場付近の聞き込みや遺留品捜索などに全力を挙げている。
 調べでは22日午前3時50分ごろ、同店で「男性が頭から血を流して倒れている」と別の来店客が110番。男性従業員と男性客が殴られた後、同店のバックヤードから現金数万円入りのレジトレーが奪われた。2人とも命に別条はないが、頭などを殴られ重傷。現在も入院している。
 現場は伊万里湾に近い国道沿いで、民家が点在する地域。深夜帯は人通りが少なく、事件当時、同店では男性従業員が1人で勤務していた。県警は犯行に及んだ人物の性別を公表していないが、上下とも黒っぽい服装で目出し帽を着用。身長は170センチ前後という。
 容体が安定した男性客に、県警が当時の状況を聞き取ったところ「後ろからいきなり殴られ、店内で財布を落とした」「(容疑者の)声は聞かなかった」と証言した。
 県警は同町を中心に、店舗などの防犯カメラ分析や住民への聞き込みのほか、同店関係者の聞き取りも続けている。犯行時間に近い午前2時ごろから毎日約2時間、同店前の国道で検問を継続するほか、市内のコンビニ6店舗周辺で夜間巡回を強化している。
 平穏な町で起きた事件に住民は不安を募らせる。近くの高齢女性は「畑に行く時も必ず鍵をかけている。今回は物取りじゃなくて命取りになりかねない。本当に恐ろしい」と口にする。
 市立御厨小に子どもが通う女性は事件以降、登下校時に車で送迎。「子どもから『犯人まだ見つからんと?』と聞かれる。普段通りの生活を心がけて、必要以上に不安がらないようにしている」と話す。
 ある捜査関係者は「いろんなうわさが飛び交っている。先入観があると正確な情報を得るのも難しい。少しでも早く市民の不安を打ち消せるように全力を挙げる」と話し、情報提供を呼びかけている。

事件現場の位置

© 株式会社長崎新聞社