長崎バスマニアの中学生 全路線制覇に挑戦! 「運賃無料デー」に ひたすら揺られ続け

 「長崎バス全路線を制覇したい」-。25日の「長崎市内バス・路面電車運賃無料デー」に合わせ、市立戸町中2年の岩永輝大(きるあ)さん(14)が長崎自動車(長崎バス)の全路線乗車に挑戦。早朝から夜まで市内などを走るバスに思いのまま乗り込んだ。
 保育園の頃、長崎の狭い坂道などを難なく運転するバス運転手の姿に憧れた。それ以来、将来の夢はずっとバス運転手。
 バスといっても好きなのは、市内を中心に走る長崎バス。毎朝、名前を覚えている運転手が乗務するバスが通る時間に合わせて、自宅を出るのが日課という“バスマニア”だ。赤と青のツートンカラーの車体を見るとワクワクする。
 今回の運賃無料デーを教えてくれたのも、バス運転手だ。「バス好きにはたまらない。全路線に乗るしかない」
 待ちに待った当日、自宅を出たのは午前6時。長崎新地ターミナル(新地町)を出発し、まず西彼長与町方面に向かった。目的地はない。「バスに乗るのが楽しいんだ」。大瀬戸方面から琴海地区などを経て、JR浦上駅近くに戻り、再び市北部方面へ。車窓から街並みを眺め、顔見知りの運転手のバスが通ると手を振った。ひたすらバスに揺られながら、いつか運転席に座る自分の姿を思い描いていた。
 無料デーゆえか、バス利用者が多く、西彼時津町方面に向かうバスは満員状態だった。終日、各地を縦横無尽に乗り続けた岩永さん。全路線制覇はかなわなかったが、暗くなった空を見上げ「また挑戦したい」と目を輝かせた。
 運賃無料デーは、物価高騰などによる市民の負担軽減と、公共交通機関の新たな需要を掘り起こす目的で、市が企画。市内で運行する長崎バスと県交通局(県営バス)の路線バス、長崎電気軌道の路面電車を対象にした。市によると、利用状況は集計中。今後も年度内の日曜か祝日、最大7回実施する予定。

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