高松ぶどう過去最高10万円 特秀1箱、昨年の倍 金沢で初競り

1箱10万円で競り落とされた「特秀」のデラウェア=29日午前6時15分、金沢市中央卸売市場

 かほく市特産「高松ぶどう」の初競りは29日、金沢市中央卸売市場で行われ、小粒種なし品種「デラウェア」の最高ランク「特秀」1箱(10房入り2キロ)が10万円で競り落とされた。昨年の5万円を上回り、2年連続の過去最高値に場内が沸き、関係者は「さらなるブランド化に弾みがつく」と期待した。

 デラウェア717キロが競りに掛けられた。糖度や大きさ、色艶などが一定の基準を超えた「特秀」は1箱のみで、落札された瞬間、関係者らから「おおっ」と声が上がった。

 落札したのは青果卸・小売「堀他」(金沢市)で、同社が内灘町の道の駅「内灘サンセットパーク」で経営するカフェ「八百屋のスイーツ HORITA205 HORITA PICNIC」でケーキとして提供された。同社は昨年も最高値で落札しており、須田隆嗣専務は「生産者の励みになればと張り切った」と話した。

 高松ぶどう生産組合の大田昇組合長は「特秀は糖度22度と抜群の仕上がりになった。コロナ禍が落ち着いた追い風もあり、7月中旬のルビーロマンの初競りでも高値が期待できそう」と表情をほころばせた。

 競りに先立ち、油野和一郎かほく市長がトップセールスし、仲買人らに「生産者が意欲を感じられるような落札価格をお願いしたい」とあいさつ、JA石川かほくの西川一郎組合長が高松ぶどうの魅力をアピールした。

 特秀以外の卸値は1箱(2キロ)2800~3千円、1パック(約300グラム)320~360円と平年並みだった。午後には石川県内のスーパーなどに並ぶ。JA石川かほくによると、今年は春先から温暖で日照時間が長かったため品質は良好で、7月末ごろまでに昨年並みの52トンを北陸三県や岐阜、大阪などの市場に出荷する。

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