京都新聞HDが「監査等委員会設置会社」に移行 元相談役の多額報酬問題で再発防止策

元相談役への違法報酬問題で再発防止策を発表する京都新聞HDの大西祐資社長(29日午後、京都市下京区・京都経済センター)

 京都新聞社の持ち株会社の京都新聞ホールディングス(HD)が大株主の元相談役に多額の違法な報酬を支払っていたとされる問題で、京都新聞HDは29日、再発防止策を発表した。経営へのチェック機能を強化するため、社外役員らが業務執行を監査する「監査等委員会設置会社」に移行。役員の選任や報酬決定の過程を監視する組織の新設などを盛り込んだ。

 長年、経営に外部の目が届かなかったことが不祥事の背景にあるとして、新たな企業統治体制を導入して透明性を高めるとした。経営を監視する監査等委員会は、いずれも社外取締役の弁護士、公認会計士と、社内取締役の3人で構成した。

 役員の選考や報酬の決定についても不透明だったとして、「指名・報酬諮問委員会」を設けてその過程をチェックする。役員の選任基準も定めた。相談役や社主の制度は廃止した。

 グループ各社の不正や不祥事に早期に対処するため、統一的な内部通報窓口を常設する。役員、社員向けのコンプライアンス(法令順守)教育も徹底するとしている。

 同日の定時株主総会で、関連の役員選任案や定款変更案などが承認された。

 京都新聞HDが昨年4月に公表した第三者委員会の調査報告書によると、同社は利益供与を禁じた会社法の規定に違反し、元相談役の白石浩子氏(2021年3月解嘱)に34年間にわたって報酬や私邸の管理費など総額19億円を支払っていたという。

 報告書を受けて京都新聞HDは、白石氏に支払った報酬相当額のうち時効が成立していない約5億1千万円の返還を求める訴えを京都地裁に起こし、現在係争中。

 新たに京都新聞HD社長に就任した京都新聞社社長の大西祐資氏は記者会見し、「自浄作用が効かなかったことを猛省して、この体制になった。再発防止策を着実に実行し、信頼回復に全力を尽くす」と話した。

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