手品、猿回し、腹話術…ボランティア公演2千回 別府市の萱嶋さん、がんを乗り越え【大分県】

2千回のボランティア公演を達成した萱嶋仁侠さん=別府市上平田町

 【別府】県内外の福祉施設や被災地などで手品、芸能ショーを披露してきた別府市竹の内の萱嶋仁侠(ひとし)さん(80)が27日、末期の肝臓がんを乗り越えてボランティアの公演2千回を達成した。多くの人に笑いを届け、節目を迎えたことに「病気をしても諦めなくてよかった」と語った。

 萱嶋さんは子どもたちに手品を見せて喜ばれたのをきっかけに、自衛官だった1976年から福祉施設などへの訪問を始めた。プロに弟子入りして腕を磨き、猿回しや腹話術などさまざまな芸を披露してきた。

 2021年に肝臓がんが見つかり、余命1カ月と宣告された。手術は無事成功し、22年11月に公演を再開。精力的に活動を続けた。今春、肺への転移が見つかり再び手術。肺炎による入院治療などを経て、活動を続けている。

 2千回目となった27日はNPO法人福祉の森(上平田町)を訪問した。高齢者に食事や交流を楽しんでもらう「幸齢者カフェ」で、手品と軽妙なトークを交えた健康法の「笑いヨガ」を披露。参加した14人は手をたたきながら楽しみ、最後は「また来てね」「ありがとう」と感謝した。

 公演を通してがんサバイバー(闘病体験者)から励ましの言葉をもらった。「公演を楽しみに待っている人たちに笑いや元気を届けられるよう、体調回復に努めたい」と笑顔を見せた。

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