準絶滅危惧種の国蝶(こくちょう)オオムラサキが、兵庫県川西市萩原台西3の明峰小学校で次々と羽化している。青紫や黒褐色の優美な羽を広げ、飼育ケージ内を盛んに飛び回る。
タテハチョウ科で、明るい落葉広葉樹林に生息する。常緑樹林の増加やシカの食害による森林環境の変化などで数を減らし、兵庫県版レッドリストでは存続基盤がぜい弱なCランク。
同校では、市内の自然保護団体「身近な自然とまちを考える会」が2018年にケージを設置し、飼育、観察を続けている。今年は今月14日に羽化が始まり、29日までに9匹がさなぎからチョウになった。
26日には、同会副会長で環境省環境カウンセラーの石津容子さん(74)が3年生の授業でオオムラサキの生態を紹介。児童は、幼虫がエノキの葉を食べることや、さなぎが外敵に触れられるとぶるぶる揺れて身を守ることなどを学んだ。
7月にかけてさらに10匹ほどが羽化しそうといい、同会は放蝶も計画している。(吉田敦史)