役員報酬1億円超え、過去最多の20人 兵庫県内上場企業の経営者 川崎汽船は全取締役、コンテナ船の活況で

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 兵庫県内に本社・本店を置く上場企業で、2022年度に役員報酬が1億円を超えた経営者らは20人と、過去最多になったことが神戸新聞社の集計で分かった。新型コロナウイルス禍からの景気回復を背景に、運輸や卸・小売り、鉄鋼、機械など幅広い業種に及んだ。コンテナ船の活況で最高益の川崎汽船(本店・神戸市中央区)では、5人の取締役全員(社外を除く)が1億円を超えた。

 県内の上場企業112社のうち、6月30日までに開示した110社の23年3月期など直近の有価証券報告書を調べた。

 報酬額のトップは化粧品のノエビアホールディングス(HD、神戸市中央区)の大倉昊会長で、5億2800万円だった。2位も長男の大倉俊社長。昊氏は4年、俊氏も3年連続で5億円を超えた。3位は3億900万円で、川崎汽船の明珍幸一社長が続いた。

 役員報酬は固定給と、業績によって変動するボーナスに分かれる。明珍氏の固定報酬は7200万円だが、コロナ禍の巣ごもり需要などでコンテナ船の運賃が高騰、自動車船の輸送も伸びて6949億円の純利益をたたき出し、業績連動部分が押し上げられた。この効果は他の役員にも及び、副社長や専務ら取締役全員が1億円を超える珍しいケースとなった。

 経営者ら20人のうち、創業家一族などのオーナー系が大倉氏やシスメックス(神戸市中央区)の家次恒会長兼社長(現会長)ら7人、内部でキャリアを重ねた「サラリーマン型」が明珍氏や神戸製鋼所(同)の山口貢社長ら10人だった。アシックス(同)の廣田康人社長やJCRファーマ(芦屋市)のマティアス・シュミット常務ら、外部から招かれた「プロ経営者」も3人いた。

 22年3月期に2億6500万円で3位だった日本管財(本店・西宮市)の福田慎太郎社長は、持ち株会社化に伴う措置で有価証券報告書を提出せず、非公開だった。

 金融庁は10年3月期決算から、報酬額が1億円以上の役員の氏名と金額を開示するよう上場企業に義務付けた。家次氏は14年連続、大倉昊、俊両氏は11年連続で有報に記載されたことが確認できた。(高見雄樹、大島光貴、大盛周平)

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