神戸ゆかり、書家と画家の魅力に迫る 六アイで「墨の世界」展 書や水墨画、古墨、硯など220件展示

山下摩起が金剛力士を描いた作品群=神戸ゆかりの美術館

 神戸を代表する書家と画家の魅力に迫る特別展「ながれ・いろどる 墨の世界」(神戸新聞社など主催)が1日、神戸市東灘区向洋町中2の神戸ゆかりの美術館で開幕する。市立博物館(同市中央区)のコレクションの中から、3人の精神性を伝える書や水墨画、古墨、硯など約220件を展示する。

 書家の安東聖空(1893~1983年)は、壁面に飾って映える「大字かな」の運動を推進。自詠の歌を書いた「春光」はゆったりした文字の配置がうららかな春の空気感を、規則的な行間が波音のリズムを伝えるようだ。創作の源として集めた中国・明時代の文房具や骨董品も並ぶ。

 深山龍洞(1903~80年)は、かなの線に漢字の力強さを取り込んだ大胆な作風が特徴。古典に学び、多彩な書風に挑みながら独自の境地に達した軌跡を見せる。

 山下摩起(1890~1973年)の水墨画は、生き物への愛情にあふれ、生命が宿ったようなぬくもりを感じさせる。鋭い線で荒々しく描いた滝のほか、「絵に完成はない」と打ち込んだ仏画が印象的だ。

 9月3日まで。午前10時~午後5時。月曜休館(7月17日は開館し翌日休館)。一般800円、大学生400円。神戸ゆかりの美術館TEL078.858.1520 (小林伸哉)

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