選者はチャットGPT 青森市で開催の川柳大会 人間と遜色なし!?

川柳大会の終盤、チャットGPTに「愛」があるか-という問いに対し、挙手で有無を示す参加者たち

 青森市を中心に活動する川柳結社「おかじょうき川柳社」の大会「川柳ステーション2023」が1日、同市のリッチモンドホテルで開かれ、特別選の選者に対話型人工知能(AI)「チャットGPT」が採用された。関係者によると「世界初」の取り組みで、日常会話でなじみのない言葉や句の中の1字空きも認識するなど人間と遜色ない能力を発揮。参加者の多くが「衝撃的」「AIに負けた」と驚いた一方、「言葉に込められた意味を本当に理解しているのかは疑問」という声も上がった。

 大会には県内外から約40人が参加。特別選の選者は中央から招くことが多かったが、最近は財政的な理由で難しくなったため、代わりの選者を考えるうちにチャットGPTに任せるアイデアが生まれたという。

 特別選では、「愛」をテーマに1人1句ずつ事前投句した38句をチャットGPTに入力し、「好きな順に並べて」と指示。最高位は米山明日歌さん(静岡県)の<愛は今 三角波の頂点に>で、米山さんは「AIの選句は初めてだが、うれしい。川柳の楽しみ方も広がると思う」と喜んだ。

 参加者たちも推しの1句を投票しており、米山さんの句は2票を獲得。チャットGPT選の20句中13句が票を獲得し、人間と似たような選句傾向が見られた。

 一方、参加者から最多タイの3票を獲得した<いつだって餃子の皮でいてあげる>、2票の<モンローのページ乾いたリトマス紙>は20句に入らず、「さすがに『餃子の皮』や『モンロー』の意味までは読み解けなかったのでは」との意見も出た。

 終盤、おかじょうき川柳社代表のむさしさんが「チャットGPTに『愛』はあるか」と参加者に問い、挙手があったことで「『愛』はないわけではない」と総括。終了後には「みんな面白がってくれたので良かった。今後もチャットGPTを選者にするかは白紙だが、他の吟社の参考になれば」と語った。

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