中学体育大会、地域クラブ困惑も 出場初年度、競技で異なる参加要件 青森県内

7月中旬の県大会を前に、下北地方中体連が主催した柔道競技強化練習会。「田名部中」のゼッケンをつけたむつ市の柔道クラブの選手も参加した=6月24日、むつ市

 国が公立中学校の部活動の地域移行を推し進めていることを受け、本年度から日本中学校体育連盟(中体連)が所管する全国中学校体育大会(全中)に地域スポーツクラブが出場できるようになった。青森県でも、6月に行われた地区夏季大会の複数の競技で、地域クラブの選手が活躍した。ただ、競技によって参加要件が異なる現状に関係者から戸惑いの声も聞かれる。

 県中体連によると、日本中体連が地域クラブの参加要件を示さなかったため、対応は都道府県ごとに分かれた。

 青森県は、柔道や剣道など個人戦と団体戦がある競技は、個人戦に限って地区大会から地域クラブの出場を認めた。サッカーや野球といったチーム競技は県大会から出場可能としたが、競技によって対応が異なる。例えば、サッカーは地域クラブ同士で予選を行い県大会出場チームを決定。バスケットボールは、全中出場の要件が「国の方針を受けて地域移行したクラブ」で、県内に該当する地域クラブはない。県中体連の澤田孝頼会長は「初年度で、申し込み手続きなどが煩雑になることが予想されたので、地域クラブの出場については線を引く形にした」と説明する。

 県内の他自治体に先駆けて部活動地域移行に取り組むむつ市。運動部は柔道、水泳、サッカーが本年度から地域クラブとなった。

 柔道クラブは現在、田名部中学校の1~3年生11人が所属している。夏季大会は団体戦に出場するため、地域クラブではなく田名部中として参加を申請。6月11日に行われた地区大会を戦い、男子団体と男女個人の複数の選手が県大会に出場する。

 クラブの指導者・飛内律光さんは、地区大会について「所属しているのが田名部中の生徒だけだったので不都合はなかった」と振り返った。ただ、団体戦に出場するチームは一つの中学校の選手で組まなければいけない-というルールがあるため、「来年度、田名部中以外の生徒が入ってくればどのような対応になるのか…」とこぼした。

 さらに青森県では、水泳や陸上で各種目の順位に応じてポイントを与え、その合計点を競う「学校対抗」の対象から地域クラブを除外した。下北地区の水泳競技では全てクラブ登録の選手だったため、学校対抗の表彰がなかった。むつ下北地域の関係者からは「中学生が出場していることに変わりはないのに、『学校』でないから外すというのは違和感がある」といった声が複数上がった。

 澤田会長は来年度以降の地域クラブの参加について、「全国大会の仕様が決まれば、それに合わせて青森県バージョンをつくっていくことになる。本年度と変更になる可能性もある」との考えを示した。その上で「子どもたちはそれぞれの目標を達成するために活動している。われわれは、それをかなえるための形づくりを第一に考えないといけない」と強調した。

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