住民と応援団が一丸 豪雨被害の県内、初の日曜

床上浸水の民家で協力して泥を運び出す集落の住民とボランティア=立山町白岩

  ●ボランティアら復旧支援 泥や流木撤去

 立山町、上市町、富山市山間部を中心に襲った局地的豪雨から初めて日曜を迎えた2日、立山町に土砂災害警戒情報が発表された前日から一転して好天に恵まれ、白岩川の氾濫で被害の大きかった同町白岩、日中では朝から住民が泥のかき出しや流木の撤去に励んだ。町内外から駆け付けた親族や災害ボランティアの応援団と地域が一丸となって復旧を進め、被災住民は「先がようやく見えてきた」と前を向いた。

 町社会福祉協議会によると、社協を通じて初めて派遣された災害ボランティア5人が白岩、日中両地区で泥かき作業を手伝った。1日も両地区で計6人が作業した。近隣地区の住民や町職員、現地に駆け付けた有志の支援もあった。

 白岩の集落には堤防の決壊で濁流が押し寄せ、民家1棟が床上浸水した。決壊場所付近の水田は土砂で埋まり、大小さまざまな大量の石や根元から折れた大木などが散乱している。

 床上浸水した民家では、集落住民とボランティアが泥のかき出しなどに励んだ。実家が床上浸水した髪口清隆町議(54)は「作業スピードが自分たちだけでやるのと全然違い、本当に助かった」と感謝した。

 集落では、6月30日にボランティアで訪れる予定を悪天候のため延期していた日本海電業(富山市)の若手を中心に社員20人が水田と用水の流木や岩石の撤去などに汗を流した。同社は官公庁向けの電気通信機器工事・保守などを手掛け、白岩地区で白岩川ダムの警報機器更新工事に従事した縁で協力を申し入れた。

 工事の現場責任者で支援を企画した立野智隆さん(25)は「高齢者が多く若い力が必要と思った。水分を含んだ流木は見た目以上に重かった」と振り返った。支援を呼び掛けた営業の大久保涼太郎さん(31)は「被害の甚大さを実感した。必要ならまた助けに来たい」と語った。

  ●「ゴールはまだ先」

 白岩地区の山田良秋区長(64)によると、集落は約60世帯、約120人の7割を65歳以上が占める。住民や町内外の親族ら約70人が協力して復旧を急ぎ、山田区長は「ボランティアや出身者に感謝したい。だが、ゴールはまだまだ先だ」と長期戦を見据えた。

 住宅7棟が浸水した日中でもボランティアが活躍。自宅の片付けに追われた堀田美知子さん(83)は「3人が手伝ってくれ、ありがたかった。早く畑の復旧に取り掛かりたい」と話した。

 農地被害のあった上市町女川などでは、住民がひとまとめにした災害ごみを町が回収した。

 立山町は2日、豪雨災害支援の受付をふるさと納税ポータルサイト「ふるさとチョイス災害支援」で始めた。災害支援のため返礼品はなく、詳細を町ホームページに掲載している。町社協は3日以降も被災地のニーズに応じ、災害ボランティアの募集を継続する。

水田に散乱した流木の撤去を進めるボランティア=同

© 株式会社北國新聞社