天皇杯・皇后杯バレー長崎県ラウンド 女子は西彼杵高が初優勝 元九文メンバー、新天地で躍動

【女子決勝、純心女高-西彼杵高】優勝を決めて涙と笑顔で観客席にあいさつする西彼杵高の選手たち=島原復興アリーナ

 バレーボールの天皇杯・皇后杯全日本選手権県ラウンドは2日、長崎県島原市の島原復興アリーナで行われ、女子決勝は西彼杵高が長崎県高総体王者の純心女高に2-1で競り勝って初優勝した。男子決勝は長崎国際大が鎮西学院高に2-0でストレート勝ちした。
 高校、大学、社会人の男女各12チームが出場。トーナメントで競った。
 女子決勝は第1セットから一進一退の大熱戦。西彼杵高が25-23で先取し、第2セットは純心女高が25-20で奪い返すと、最終セットも白熱のラリーが続いた。純心女高がOHの中嶋、原口、MB橋田を中心に22-18とリードして終盤を迎えたが、ここから西彼杵高が猛追。MBドロストのブロック、OP田中聖やOH佐藤侑の強打などで逆転し、25-23で勝負を決めた。
 男子決勝も接戦となったが、長崎国際大が鎮西学院高を25-22、25-23で退けた。
 男子は長崎国際大と推薦枠の大村工高、女子は西彼杵高と推薦枠の聖和女学院高が九州ブロックラウンド(9月23、24日・佐賀)に進出。男子2、女子3枠の全日本選手権(12月・東京)出場権を懸けて戦う。

◎西彼杵高・長崎県バレー界に鮮烈“デビュー”
 
 西彼杵高女子バレーボール部が長崎県高校バレー界に本格的な“デビュー”を果たした。九州文化学園高を15度の日本一に導いて、3月に定年退職した井上監督が4月に就任。その指導継続を求めて転校してきた選手や新入生で再始動したチームがこの日、夏のインターハイに出場する純心女高との好勝負を制して県の頂点に駆け上がった。
 九州文化学園高は井上監督退職後の後任や方向性が不透明で、活動の場を失う恐れがあった選手たちは転校を希望。西彼杵高がある西海市などは2月に会見を開き、バレーを通じた地域活性化に取り組むとした上で、県も転校について「生徒たちの責任に帰すべき事由ではない」と将来を尊重した経緯がある。
 転校したのは2、3年生17人。ここに1年生5人が加わって休部中だった部を再建した。転校生は県高総体など県高体連の参加資格に基づく大会に半年間出場できないため、今回は4月の長崎地区春季高校大会以来の公式戦。そこで競り勝っていた純心女高との再戦が決勝で実現した。
 試合は終始白熱。主将のセッター市川の速いトス回しから、OP田中聖やOH佐藤侑らが次々に強打を決め、MBドロストのブロックも勝負どころで効いた。井上監督は「言いたい課題は山ほどあるけれど、よく練習はできていた」と好プレーにはたびたび拍手も送り、優勝後は涙と笑顔で観客席にあいさつする教え子たちに目を細めた。

【女子決勝、純心女高―西彼杵高】第1セット、西彼杵高のMBドロストがスパイクを放つ=島原復興アリーナ

 次は九州ブロックラウンドのほか、秋の鹿児島国体出場(4枠)を懸けた8月の九州ブロック大会に挑む。市川や田中聖は地域や周囲の支えを実感している様子で「もっと感動をしてもらえるプレーを」「バレーといえばこのチームと言われるように」とさらなる飛躍と恩返しを誓っていた。

© 株式会社長崎新聞社