青森県内、出所者らの雇用伸びず 協力企業の大半が中小、求人少なく

 7月は再犯防止啓発月間。再犯防止に向け、刑務所の出所者や保護観察対象者らを雇用し、社会復帰を支援する民間の「協力雇用主」が青森県内で微増傾向の一方、実際の雇用人数は伸び悩んでいることが2日までの青森保護観察所への取材で分かった。関係者は協力雇用主の大半が中小企業で求人数が少ない上、社会の理解が深まっていない点を要因に挙げる。

 県内の協力雇用主は国や県の支援体制の強化などを背景に、過去5年間で約50社増加。2022年度末時点は199社だった。業種別でみると、22年度末は建設業が88社で全体の4割超を占める。次いでサービス業32社、その他(清掃業など)26社、製造業15社と続く。

 一方、実際の雇用人数は18~22年度は各年度末時点で16~35人にとどまっている。雇用先は建設業が多く、雇用形態は正規と非正規がおよそ半々だった。同観察所によると、協力雇用主は人手不足の業種が多いものの、大半が中小企業で求人数が少ない傾向があるという。

 仮出所による保護観察対象者や釈放者のうち、身元引受人らがいない人が数カ月間入所する更生保護施設「プラザあすなろ」の中村徹施設長は「協力雇用主の全てが求人を出しているわけではない。業種に偏りがあり、対象者とのマッチングが難しい」と頭を悩ませる。介護職を希望する入所者もいたが、介護施設の利用者から理解が得られにくいことなどが影響し、実現しなかったケースもあったという。

 国の統計によると21年、再犯で刑務所に再び入った人の約7割が無職だった。同観察所の佐藤文彦統括保護観察官は「就職することは生活の安定につながるだけではない。社会で出番や居場所を与えられ、必要とされていると感じることが再犯防止に有効だ」と話す。

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協力雇用主 犯罪や非行の前歴のために就職が難しい出所者や保護観察対象者らを雇用、または雇用しようとする民間事業主。協力雇用主になるためには保護観察所に登録する必要がある。雇用した場合は奨励金が支給される。法務省によると、2021年10月時点で全国約2万4千社が登録している。

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