正月のしめ飾りや古いお守り、お札などを焼く焼納祭(どんと焼き)を取りやめる動きが青森県内の神社で進んでいる。燃えたことで生じる、すすなどに関する地域住民からの苦情や持ち込む人のマナーの悪化、環境問題などが理由だという。
「お焚(た)き上げが廃止となりました」。昨年建立から410年を迎えた弘前市八幡町の弘前八幡宮は6月24日、赤地白抜きの目立つ文字で立て看板を設置した。
小野若狭(わかさ)宮司(74)によると、10年ほど前からお札やお守り以外にもビニールに入った供え物や神棚などが持ち込まれるようになった。全てを分別できず、黒いすすが上がるようになり、近隣住民から「車にすすが付く」「家の窓が開けられない」などの苦情が寄せられるようになった。弘前消防本部に開催許可を届け出る際に、近隣の住宅に火が移る危険性を指摘されたのも大きかった。小野宮司は「当たり前に行う行事だったが時代が変わってきた」。
県神社庁の担当者は、焼納祭を行う神社の数は把握していない-と前置きしつつ「焼納祭を行う神社が少なくなっていることは事実。灰が飛んでくるという苦情は毎回届き、それが理由でやめる神社もあるだろう」と話した。
一方、存続のために対策を練る神社も。
青森市の廣田神社(田川伊吹宮司)では、持ち込む人たち向けに、自分で処分できるものとできないものを振り分ける場所を境内に設け、包んでいるビニールもその場で剥がすように係員が声をかけている。
人手はかかるが、田川宮司は「神事として行っていることを地域住民に分かってもらうことが重要。持ち込む人のモラルが低下したら廃止を考えなければいけない」と話した。