窃盗罪で保護観察の60代男性「仕事続け自立したい」 協力雇用主の下で汗

「これからも仕事を続けて自立したい」と語る男性=6月、青森市

 7月は再犯防止啓発月間-。刑務所の出所者や保護観察対象者らを雇用し、社会復帰を支援する青森県内の「協力雇用主」の下で働く60代男性は数年前、窃盗罪で保護観察付き執行猶予判決を受けた。昨年まで建設業で働いていたが体を壊し、再就職先を探していたところ、手を差し伸べてくれたのが、協力雇用主の食品関連業者だった。「仕事をしている時間が一番楽しい。仕事があるのは最も大事なこと。生活の支えになっている」と感謝する。

 職場の同僚は男性が罪を犯したことは知らず、話題にも一切出ない。だが、もし知られたとしても構わないという。「どういう態度を取られるか分からない。でも、自分がしでかしたこと。他の人にどう言われても仕方ない」と受け止める覚悟だ。

 犯罪に手を染めたのは仕事がなく、金に困っていた時だった。地元友人の誘いを断れず、盗みを働いた。両親は既に亡くなっており、罪を犯したことできょうだいには愛想を尽かされ、連絡が取れない。現在は頼るべき親族や帰る場所がない人を受け入れる更生保護施設で暮らしている。「後悔している。被害者に申し訳ない。もう同じことを繰り返したくない」と男性は話す。

 数カ月後には同施設を退去する予定で、今は節約し貯金を増やす日々だ。「アパートを借りて自立することが目標。しっかりと働いて、いつかこの施設や職場で知り合った友人たちと自由に食事がしたい」と、その日を待ち望む。一方、不安な気持ちも拭えない。「これからは自分でやっていくしかない。ここから出た後が自分でも一番怖い」

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