中国の電気自動車乗り比べ ⑥まとめ編

まとめ編

このたび、中国国内の自動車事情について知るため、自動車メーカー各社および開発区域に出向いて試乗体験をし、それぞれの自動車の乗り心地を比較するという試みをしてみました。各社の自動車乗り比べを通し感じたこと、および中国国内の現状をご報告させていただきます。

当レポートは、セダン編・SUV編・ミニバン編・コンパクトカー編・タクシー編・まとめ編に分けており、今回はまとめ編をお届けします。

先日、中国の配車アプリ大手の滴滴が新エネ車と共同開発した自動運転車両『DiDi Neuron』を2025年から量産するという発表がありました。このNeuronという車両ですが、車というものの概念を変える斬新なものだと思いましたので、少しご紹介します。外観は丸みを帯びた箱に4つの車輪が付いている、遊園地のアトラクションのような見た目で、内装は運転席をなくし、乗車空間を最大限に広くしたデザインになっているそうです。車両の大きさは変わらないまま、既存の自動車の内部空間を50%、足元の空間を86%広げ、車内で寝転がることもできるようです。機能面に関しては、社内に取り付けられたアームを使って荷物を運んだり、水を入れたり、寝ている人を起こしたり、また、大画面パネルで会議、ゲーム、ビデオやストリートビューの紹介ができたり、雰囲気の選択ができるモード設定の機能があります。車両には21個のカメラと14個のレーダーを備えるとともに、回転可動域が大きい4つのタイヤがあるため、小回りがきき、斜め走行もできるため、狭い道でのUターンや、すれ違いの際にも対応できるそうです。

また滴滴は今年年初に「慧桔港」という自動運転車の管理場所(蘇州高速鉄道の駅近くの地下にあったような場所)を新たに作り、24時間営業の自動運転サービスを開始しています。そこを拠点として自動出庫、予約受付、入庫などがされるとともに、ロボットが自動で車両の洗車、充電、点検、メンテナンス、保管などまでを行うようです。自動化率は90%と言われているほど、まさに人間の手を必要としない仕組みが研究されている最中です。

こちらも2025年をめどに販売される予定であり、2年後が楽しみになるニュースだな、と思いました。「運転席をなくす」というところまで開発が進んでいるということは、「自動運転して当然」という前提で開発されているため、本当に実現が近いのだと感じますね。

このように、日々のニュース記事からも中国では新たな時代に突入しようとしている様子が感じられます。私も、このたび4台の試乗とロボタクシーへの乗車を通し、『電気自動車』および『自動運転』というテーマの実現に向けて、自動車メーカーの他、タクシー会社、IT企業、サービス業界、部品製造業、インフラ、法律関連、その他の数えられない企業や大学が研究し、競争しあい、質を高めているということが実感できました。

販売店に出向いて試乗をした際には消費者としての目線から最先端のものに触れることができましたし、中国国内での自動車販売状況等(初歩的なことだけですが)知ることができました。

また、蘇州の自動運転車開発エリアを訪問し自動運転タクシーにも乗ってみましたが、テクノロジーは私が想像していた以上に進んでいました。乗った際に大きな不安を感じることはありませんでしたし、また、自動車そのものの性能だけではなく、自動運転に関わってくる法律・交通インフラ・ビジネスモデルまでもそれにむけて変化している最中であることを知り、近い将来、本当に無人運転で移動できる時代が来るんだろうな、と肌で感じることができました。中国では新技術・ハイテク技術に対しての規制が他国と比較して厳しくないため、各社の競争も激しく、技術発展のスピードも速いです。国家の後押しもあり、特に自動運転関連は研究開発が全国各地で行われている真っ只中です。

すごいです、中国のスピード感!リスクや問題ももちろんあります。しかし、それ以上にこれからの変化がとても楽しみで、実用化される日が待ち遠しくなりました!今後も引き続き、自動運転分野に注目してみようと思います。ありがとうございました。

【おまけ】

観光無人シャトルバス・無人自動販売機車(蘇州の金鸡湖)

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