神室連峰の登山道、正確に ネット上の地図修正・地元の「守る会」、国土地理院に協力

「神室山系の自然を守る会」が協力し、国土地理院のインターネット上の地図で神室連峰の登山道の位置などが更新された。右が阿部修会長

 国土地理院がインターネット上で公開している地図「電子国土Web」で、神室連峰の登山道の位置などが更新された。同連峰の環境整備団体「神室山系の自然を守る会」(阿部修会長)が、登山道を正確に記すよう国土地理院に要請し、会員が実際に山を歩いてルートを記録するなどして協力した。一杯森では最大400メートル登山道が北にずれるなど修正された。関係者は「遭難事故防止や登山客の増加につながってほしい」と話している。

 神室連峰は主峰の神室山(1365メートル)をはじめ、杢蔵山(1027メートル)や火打岳(1238メートル)などからなる。登山道の総延長は約103キロで、そのうち約6割が栗駒国定公園内にある。縦走ルートは上級者向けで、神室山の山頂付近にある避難小屋は毎年千人前後が利用している。

 守る会は2021年、過去の伐採や植林などの影響で、地図上の登山道と実際の位置に異なる部分があるとして国土地理院に修正を要請した。翌22年、国土地理院は同会に測量用の小型衛星利用測位システム(GPS)を貸し出し、会員が▽一杯森▽杢蔵山▽亀割山―の3山で現在の登山ルートを歩いて測量し直した。

 正確性を期すため測量作業は2人一組で実施。一杯森では事前に登山道を歩き、最適なルートを再検討した上で測量を行った。正しいルートが記録されたGPSを国土地理院に返却し、そのデータを基に地図が改訂された。

 新庄市と最上町の申請に基づき、縦走路の分岐点となる重要な山頂名として「一杯森」「槍ケ先」が追加された。一方、使用不能となっていた登山道4コースは削除された。

 阿部会長は測量する中で先人の知恵に驚いた。「廃れてしまった登山道の方が、現行ルートより安全性の面などから優れていることもあった。日常的に山と親しんでいた昔の人は、現代人より地形を見る目があったのだろう」と話した。

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