スーパー「さとちょう」、当面は全店舗営業 青森市で債権者説明会

多くの取引業者らが集まった「佐藤長」の債権者説明会。壇上右から3番目が佐藤社長=4日午後

 スーパー「さとちょう」の運営会社で民事再生法の適用を申請した「佐藤長」(本社青森県弘前市)の代理人弁護士は4日の取材に対し、申請後も主要な取引先から商品の納入が得られているとして、当面は全店舗の営業と従業員の雇用を継続できるとの見通しを示した。8月末までに決定するとしている再生支援企業については「(取引先などに)安心していただくため、早めに決めたい」と述べた。

 同社は4日、青森市内で債権者説明会を非公開で開催。佐藤譲社長が謝罪し、今後の納品への協力を求めた。

 複数の出席者らによると債権者から目立った反発の声はなく「頑張って」と声がかかる場面もあったという。

 代理人弁護士の木下清午氏(仙台市)は説明会終了後の取材に対し、取引先の一部が納品を停止したが営業に支障はない-と説明。金融機関に対し、土地や建物の競売などを回避する「別除権協定」の締結を持ちかける予定だとした。

 再生法の申請により、6月25日までの売掛金や金融債権などは支払いが凍結され、11月末に決定する再生計画案で返済割合などが示される。木下弁護士は「(売掛金などの)一般債権を含め、できるだけ多く返済できるよう努める」とした。

 債権者からはこのほか、金融機関の融資停止を招いた前社長への損害賠償請求を求める声が上がり、同社側は「必要があれば検討したい」と答えたという。

 さとちょうへの納品を止めた津軽地域の取引業者は「民事再生により、夏のボーナスが払えないかもしれない-と社員に伝えた。それくらいの痛手がある」と肩を落とした。

 納品を続けているという別の取引業者は「この地域になくてはならない店。一生懸命頑張ってもらいたい」と語った。

 佐藤長と関連会社の債務は計約70億円。再生手続き開始は11日に決定予定で、再生計画案は来年1月下旬の債権者集会で決議する予定だ。

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