【佐野】市出身で人間国宝の陶芸家田村耕一(たむらこういち)が作陶した茶わんを使い、茶(抹茶)を提供する田村耕一美術館(閑馬町)の“一服のおもてなし”(500円、別途入館料)が好評だ。
同美術館は2019年にオープンした。「鉄絵」の巨匠として著名な田村の作品約千点を所有し、年に数回展示替えをしながら約500点を常設展示している。
四十数年間かけて、島田文男(しまだふみお)館長が収集してきた作品を、初期から最晩年まで田村が活躍した時代背景や、その思想も含め年を追って理解できるよう工夫されている。
使用する茶わんはティールームに展示された5点(田村の作品は4点)から一つを選ぶ。初期の「白釉茶碗(はくゆうちゃわん)」(1966年)から後期の「鷺竹文茶盌(さぎたけもんちゃわん)」(78年)などがあり、茶菓子(落雁(らくがん))が添えられる。田村の作品を鑑賞した後、その余韻に浸りながら味わう抹茶の味は格別という。
郷土を愛し、近郊に見る自然や草木を作陶のモチーフに選んだという田村。島田館長は「質感や肌触りも含め、(佐野の地で)作品の素晴らしさの一端を実感してもらえたらうれしい」などと話している。
入館料は大人600円。月曜休館。(問)0283.86.9777。